[パソコン作画編第13回]
パソコン作画Q&A
 パソコン作画編の最後に、皆さんから寄せられた質問にお答えしたいと思います。
Q デジタルで描くと、どのくらい楽に描けるのですか?

A まず最初に断っておきたいのは、パソコン作画したからといって、絵がうまくなるわけでも、簡単に描けるようになるわけでもありません。便利なツールには違いありませんが、使えば必ず面白いまんがが描けるわけではないのです。
 パソコン作画の一番のメリットは仕上げの省力化です。たとえばある作家さんの場合、アナログ作画で32ページのトーン貼り作業に40時間近くかかっていたのが、パソコン作画にして10時間程度で終わった、と聞きました。1/4の時間です。失敗してもやり直しが簡単ですから、実際はもっと短い時間で仕上げられるかもしれません。
 パソコンを使ったデジタル作画は「楽」というよりも、「より短時間できれいに仕上げることができる」と考えてください。


Q ペンを使い始めてまだ1年ですが、すぐにパソコン作画に乗り換えた方がいいのでしょうか?

A 早い内にパソコン作画を習得した方が有利、と考えている方も多いようです。ただ、上のQ&Aでもお答えしたように、パソコンはまんがを描くための道具でしかありません。道具をうまく使えるのと、面白いまんがを描くことは別です。まずは普通にペンとインクと紙でまんがをきちんと描けるようになって、それからでもいいと思います。


Q WEBコミックなどのまんがもパソコン作画ですか?

A 最近は雑誌などの紙媒体だけでなく、パソコンで読むWEBコミックやケータイコミックなども人気ですね。パソコン作画はこういったデジタル媒体と親和性が高く、描いた作品を簡単にアップロードできるので便利です。ただしすべてパソコン作画というわけではありません。従来どおりの紙とペンで描いた作品をデジタルスキャンしているものもあります。
 新人コミック大賞とは少々ずれますが、小学館ではパソコン作画したまんがを自由に閲覧・投稿できるサイト『ドリームトライブ』http://www.dreamtribe.jp/を開設しました。腕試しの投稿、大歓迎です!


Q ペンタブレットの操作がうまくできません…

A 確かにペンタブレットを使うときは、目はモニター画面、手はペンタブレット、となりますから、今までの紙とペンとは感覚がまったく違います。しかしこれはもう慣れるしかありません。パソコンが普及し始めたとき、多くの人がキーボードやマウスの操作に戸惑ったのと同じで、使っているうちに感覚がつかめてくるでしょう。


Q いいことばかりのようですが、欠点はないのですか?

A アナログ作画は描いたものが必ず残りますが、パソコン作画の場合、操作を間違えると、せっかく描いたデータがなくなってしまうことがあります。  ある作家さんの場合、Aというまんがの作画データを、Bというまんがの作画データに間違えて上書きしてしまったため、Bのまんががまるまるなくなってしまった、とか。疲れてくるとついうっかりやってしまいがちです。対策としては、

1)まんがタイトル毎にフォルダを作って、安易に上書きしない

2)「無題~」というデフォルトのファイル名は使わない。かならず「SHINKOMI080815.PSD」などのわかりやすいファイル名をつける

3)上書き保存は避け、何かの作業をしたら、必ず別のファイル名をつけて保存する。2)のように内容をあらわす名称と080815などの日付のファイル名にするとわかりやすいと思います。


などでしょう。
 また、パソコンのハードディスクが壊れたり、CD-Rに焼いたものが読めなくなってしまうトラブルもあります。大切なデータは、外付けのハードディスクにも保存するなど、きちんとバックアップをとっておきましょう。


Q 父から譲り受けたノート型のパソコンで使い出したのですが、動作が遅くてイライラします。

A ノート型でも最新のものなら、画面解像度も高く、動作も機敏なのですが、数年前のものですと、まんが制作ソフトを動かすには厳しいかもしれません。もともとノート型パソコンは省電力優先で、WEB閲覧やワープロなどには充分ですが、グラフィック系ソフトを快適に使うようには作られていません。厳しいようですが、買い換えをおすすめします。


Q 紙に印刷すると、トーンが思ったより濃くなってしまいます。

A モニター画面で見る印象とは違ってしまうことがよくあります。モニターの調整やプリンターの機種によっても違いますが、濃くなるようなら、一段明るいトーンにしてみましょう。60L10%なら、55L10%などに貼り替えてみるのです。ただ濃さは好みの問題もあるので、何度か試してみて、最適のものを見つけるしかありません。



 さて、『まんが家養成講座パソコン作画編』は今回で最後になりました。長らくのおつきあい、本当にありがとうございました。このページが皆さんのまんが制作に、そして新人コミック大賞の受賞に少しでも役立てば幸いです。
[パソコン作画編第12回]
ファイルへの書き出し・印刷etc.
 パソコン作画編もテクニック紹介は今回で最後になります。少々急ぎ足で解説してしまったので、わかりにくいところもあったかもしれません。ご容赦ください。最後に、新人コミック大賞に応募するためのファイル書きだしや原稿印刷について、そして作画ソフトの『Comic Studio』のラインナップの中でも、プロ作家さんが使う『Comic Studio EX 4.0』のスペシャルな機能についてもご紹介します。なお、今まで長らくおつきあいいただいたお礼に、このEX 4.0を読者の方に3本プレゼントします。

●デジタル原稿で新人コミック大賞に応募する

 新人コミック大賞にデジタル原稿で応募する場合の明確な規定はありませんが、

1)psdファイル形式で保存した原稿データをCD-RやDVD-Rに焼いたもの

2)B4サイズでプリントアウトした原稿


の2つを同封して応募いただければ、通常の審査と変わりなく審査されます。その他の応募のきまりはアナログ原稿の場合と同様です。

●ファイルをCD-RやDVD-Rに焼く

 デジタル作画が仕上がったら、データファイルとしてパソコンのハードディスクに保存しますが、応募するときは、郵送可能なメディアに保存しなければなりません。まずは、対応形式でファイルを保存します。
 これは書き出しを選択すると出てくる画面です。出力サイズは「等倍で出力」を選択します。拡大縮小や解像度を変えたりなどはしない方が良いでしょう。モアレが出たりする可能性があります。出力形式の種類はPhotoshopを選びます。印刷出版業界で最も利用される形式がpsd形式なのです。
 ハードディスクに保存したら、書き込みソフトを使い、原稿のデータファイルをCD-RやDVD-Rに書き込みます。郵送中に破損したりしないように、プラケースに納めてください。

●B4サイズでプリントアウトする

 一般の環境でハードルが高いのがこれです。A4サイズのプリンターを持っている人は多いのですが、B4はオフィスユースなので、自宅にある人は少ないでしょう。「なぜB4サイズで応募しなきゃいけないの? A4でも読めるならいいのでは...」と思う方もいるでしょうが、審査のときに原稿サイズが変わると、絵の印象もかわり、同一の条件での審査という原則が崩れてしまうのです。ともあれ、B4サイズで出力する方法としては……

1)B4プリンターを持っている友人や知人にお願いして出力してもらう

2)Kinko'sなどのビジネスショップで出力する

3)いったんA4でプリントアウトし、コンビニなどのコピー機でA4→B4の拡大コピーをする


 などでしょうか。一番手軽なのは1)ですが、まわりにB4プリンターを持っている人がいないと頼めません。2)は数千円のお金がかかりますので、最後の手段は3)です。拡大になりますから、若干絵はボケますが、A4→B4くらいなら、さほど気にならないと思います。

●『Comic Studio EX 4.0』とは?

 いままで解説のベースにしてきたのは『Comic Studio DEBUT』です。手軽で低価格なのですが、プロが使うには少々力不足です。この高機能版が『Comic Studio EX 4.0』です。ここでは、このEX 4.0ならではの機能をいくつか紹介してみたいと思います。
▲「パス」という機能を使って、曲線を描いてる画面です。ベジェ曲線定規やパース定規、放射線定規などマンガ作成に便利な定規ツールが豊富に入っています。
▲PowerToneの画面です。EXには通常のトーン以外にPowerToneのプラグインが入っていたり、量は多くはありませんが、MAXONなどのトーンメーカーのトーンが収録されているので、トーン表現の幅が広がります。
▲フィルタのサンプルです。EXはフィルタ変形や効果、線補正など、かなり多くのフィルタ機能があります。左は「階調の反転」、右は「渦巻き」のフィルタです。
▲コンビニで出力する場合の画面です。ニューバーの「ファイル」から「コンビニ出力用データのアップロード」を選ぶと出てくる画面です。EXはネットを通じてセブンイレブンのマルチコピー機で出力することが可能です。B4プリンターなどを持っていない人には便利な機能です。
▲EXにはさらに強力な描画支援機能の2DLTと3DLTという機能があります。左は写真画像を線とトーンで処理して、まんがの背景風にしてくれる2DLTという機能。右はEXに収録されている3Dデータを読み込んで画像を作成する3DLTという機能です。アングルを自由に変えることができます。

 さすがに最上位版だけあって、パソコン作画で欲しいと思う機能がほとんど入っています。これがあればプロユースにも耐えられます。ただし高機能すぎて、すぐに使いこなすのは大変です。最初から無理にEX 4.0を購入しなくても、デジタル作画を経験するだけなら、低価格のDEBUT版でいいでしょう。

▼アンケートに答えてプレゼントをもらおう!

 次回は番外編として、パソコン作画編連載中に寄せられた読者の方からの質問にお答えしたいと思います。お楽しみに!(8月4日(月)更新予定)
サンプルまんが作成 (C)十神 真
[パソコン作画編第11回]
移動と変形
 描き上がった作品の最終チェックをしていて、「この絵はもっと大きかったほうがよかった…」とか「人物をもっと右にしたほうがよかった…」なんてこともよくあります。アナログ作画ですと、まるまる1コマ、ときには1ページ描き直しになりますが、パソコン作画ならば、画像の一部を移動させたり、変形させたりすることで対処できます。今回はそんな便利な機能について、例を挙げながら紹介しましょう。

●例1:サッカーシーン

 サンプルは下の絵です。サッカーのシーンですが、ボールが小さすぎますね。このサッカーボールを大きくしてみます。まず選択範囲を決め、「編集」から「移動と変形」を選択するか、選択範囲ランチャーから移動と変形の画面に移動します。
 移動変形画面です。プロパティの所に「移動と変形」の項目ができ、そこから色々と画像を変形できます。小さなボックス印を動かして拡大させます。
 ボールを拡大し、上に移動しました。(ちょっとキャラの目線を変えて)手前からボールが飛んできているシーンにしてみました。小さい画像を大きくすると、やはり線の質は若干落ちます。
 絵に変化をつけたいのでキャラを少し傾けてみます。「回転」という機能を使いますが、まずは回転させたいキャラクターを投げなわ選択ツールで囲みます。
 キャラクターを回転させました。動きを感じさせる絵になりました。
 こちらは「ゆがみ」を使ってみた画面です。使いどころが難しい機能ですが、めまいなどで映像がゆがむ瞬間などを表現するのに効果的かもしれません。
 絵の左右を反転させることもできます。左右ページを間違えた場合、またデッサンがおかしくないかチェックしたい、などのときに重宝しそうですね。

●例2:建物

 今度は建物を変形してみましょう。これは変形前のものです。
 「遠近法」という処理です。上の角を移動すると、もう一方の辺も同じように対称的に変化します。下からあおったようなアングルで、ビルをより高く見せるために使ってみました。
 こちらは「自由変形」を使った画面です。これを使っても遠近感を増す処理ができますが、この画面は上の方が大きい変なビルの形にしてみました。ギャグマンガっぽくデフォルメしたような形ですね。
 あまり極端に変形や拡大などを使うと、画像が荒れる可能性があります。なるべく小変形にとどめるのがコツです。

 さて次回でパソコン作画編は最後になります。ファイルの書き出し方やプリントアウトについてお話ししたいと思います。お楽しみに!(7月22日(火)更新予定)
サンプルまんが作成 (C)十神 真
[パソコン作画編第10回]
集中線を描く
 今回は集中線や流線などをパソコンで描く方法を紹介します。アナログの作画では、集中線はけっこう手間のかかる作業ですが、パソコンの場合はフィルター機能を使って、簡単に描くことができます。ただ、とてもきれいに線が引けてしまうので、「無機的に見えてしまう」と、この機能を使わない作家さんもいるようです。使用ソフトはComic Studioです。

●集中線を描いてみる

  では具体的に、集中線を描く手順をみてみましょう。
 上の大きなコマを選択し(画面では薄い緑色で囲った部分)、メニューから「集中線」を選びます。
 真ん中の赤い×印が中心点になります。プロパティで長さや線の間隔や入り抜きなどが設定できます。最初は思ったような集中線にならないかもしれませんが、数値やチェックボックスをいろいろ変えてみて、どのような集中線になるか試してみるといいと思います。特に「乱れ」を指定することで、ある程度の手描き感も表現できます。下にいろいろと数値を変えた例を紹介しましょう。
▼これは「曲率」をいじって曲線の集中線を作ったものです。
▼こちらは内側も外側も「入り抜き」にチェックを入れ、ウニ状にした例。
▼「ずれ」や「間隔」の「乱れ」などを使い、激しい勢いのある集中線です。線はきれいですが、手描き風な感じになりますね。
 気に入った集中線ができたら、プロパティのOKを押して確定させます。レイヤーに集中線などのフィルタを加えたことをあらわす印がつきました。でも「やっぱり少し調整しなおしたい...」という場合はプロパティの集中線を開けば、またやり直しができます。適度な数値を見つけるまでは大変ですが、コツがわかると、とても簡単にできます。

●流線を描いてみる

 同様に、スピード線などの流線もフィルター機能でできます。今度はメニューから「流線」を選びます。やはりプロパティで数値などを変えることで、様々な流線が表現できます。
 数値を変えて、いくつか作ってみましょう。
▼角度を変えてみました。
▼「ずれ」や「乱れ」を使い、激しい流線にした例です。
▼内外両方に「入り抜き」を入れ、曲率を変えた例。暴風のようなイメージが作れます。
 いかがですか? これでいろいろな効果背景が作れそうですね。ところで、Comic Studioのフィルター機能には、もう一つあります。「消失点」です。

●消失点はどう使う?

 上で紹介した、集中線・流線はそのまままんがの背景にも使えるものでしたが、この「消失点」は作画の補助機能のようなフィルターです。建物などを描くとき、2点透視図法できちんとパースを出しますが、この補助線を簡単に描いてくれる機能です。
▼消失点の場所や補助線の間隔などは自分で設定でき、補助線の数も好みで増やせます。
▼この補助線をガイドにして、別のレイヤーで、建物などを正確に描いていきます。邪魔になった補助線はあとでレイヤーごと消してしまえばいいわけです。そうそう使う機能ではありませんが、便利ですね。

 次回は変形機能の紹介をします。「顔を描いたら、目が小さすぎた」、「建物にもっとパースをつけたい」… そんなときに便利な機能です。お楽しみに!(7月7日(月)更新予定)
サンプルまんが作成 (C)十神 真
[パソコン作画編第9回]
トーンを貼る(2)
 トーンワークの続きです。前回はトーンの貼り方の基本を紹介しましたが、今回は応用編です。紙とペンのアナログ作画と同じように、パソコンでもトーンを削ったり、重ねたりして、様々な効果を出すことができます。なお今回も使用ソフトはComic Studioを使います。

●トーンを削る

 トーンを削る場合は、貼ったトーンの上から、消しゴムツールやブラシツールで、トーンを消していくことになります。どのツールを使うかで、効果は変わります。  下は消しゴムでトーンを消した時の画像です。トーンレイヤー上で消しゴムで消したり、ペンツールなどで描き足したりもできます。
 こちらはトーン削り専用のブラシツールで削った画像です。カッターで削ったような削り効果ができます。
 実際の原稿で効果をみてみましょう。女の子の髪の毛のトーンを削って、ハイライトを入れてみました。髪に立体感がでますね。

●トーンを重ねる

 今度はトーンを重ね合わせてみましょう。基本はアナログ作画と同様に複数枚のトーンを重ね貼りすればいいのですが、ただそのまま貼ると下のようなことになります。
35L20%のトーンの上に、同じ線数(35L)の10%のトーンを重ねてみました。キッチリと重なってしまい、これでは重なっているように見えません。そこで10%のトーンを移動してやります。重なったところが濃くなりましたね。
さらに重なったトーンを回転させてモアレの効果を出すこともできます。
 実際の原稿の事例です。女の子の髪の毛の影になっている部分(緑色のところです)に重ね貼りして、暗くします。なお全体に55L20%のトーンが貼られています。
 ここに影の部分のみ10%のトーンを貼ります。下の絵は貼った後のものですが、ぴったり重なっているため、濃くなりません。
 そこで、先ほどと同じように10%のトーンを少しずらします。これで濃くなります。
 なお、トーンを移動や回転させるときは、まずプレビューでの作業で確認したほうがいいでしょう。トーンがどのように見えるか、シミュレーションができますので。

●グラデーションをかける

 濃淡のついたグラデーションのトーンを貼り付けることもできます。下の絵、二人の後ろにある校舎の窓にグラデーションをかけてみましょう。貼りたい部分(窓の部分ですね)をまず領域選択します(緑色の部分です)。次に「素材」から使いたいグラデーショントーンを選び、プロパティのプレビューをチェックします。
プレビューの状態のまま、トーンを移動・回転し、貼り付けます。新しくできたグラデーショントーンのプロパティを開くと、移動・回転や線数変更・長さや濃度変更など微調整が可能です。
さらに、トーンを削ったりして、ガラスっぽい硬質感をつけてみました。完成です。
 いかがですか? 様々な表現が簡単にできてしまいます。ある作家さんは、パソコン作画を導入して、作画が早くなったのは良かったのですが、いろんなことができるので逆に作画に凝ってしまい、原稿の上がる時間は変わらなかったとか…

 さて次回は、フィルターを使った様々な特殊効果について紹介します。背景をぼかしたり、うねりをつけたり、パソコン作画ならではの手法です。お楽しみに!(6月16日(月)更新予定)
サンプルまんが作成 (C)十神 真
[パソコン作画編第8回]
トーンを貼る(1)
 仕上げの中で何が一番手間かといえば「トーン貼り」でしょう。特に髪の毛などの入り組んだ部分のトーンはカットするだけでも大変です。パソコンで作画する大きなメリットがこの「トーン貼りが簡単」なことです。貼るところを指定すれば、一発でトーンが貼られますし、気に入らなければやり直しも容易です。あとあとトーンがはがれてしまう心配もありません。今回はこの「トーン貼り」について紹介しましょう。今回も作画ソフトはComic Studioを使用します。

●線画の修正をしておこう

 トーンを貼る前に、まずは線画の修正をすべて済ませておきましょう。トーンを貼ったあとに線画の修正がでると、線だけでなくトーンまで修正しなければなりません。手間をかけないためにも、線画はこの段階で確定させておいたほうがいいと思います。

 サンプルは線画修正前の画像です。修正箇所は赤い円で描いてあります。
消したい絵が描画されているレイヤーを選択し、消しゴムツールで消していきます。
 もし下の絵のように、消しゴムで消しすぎた場合(消しすぎた箇所は赤い円内です)は…
 ヒストリーで戻る(ctrl+z)で線を消しすぎる前の状態に戻ってやり直せます。失敗を恐れることはありません。簡単ですね。
 消しゴムでなくホワイトをのせて修正することもできます。この場合、ホワイト用のレイヤーを新規作成し、マジックなどの描画ツールでカラーは白を選択します。通常のまんが作画と同じように、絵の上に白インクをのせて、消していく感覚です。何らかの理由で後に修正前の状態に戻したりする場合には、このホワイトをのせる方が便利かもしれません。
 注意したいのはホワイトをのせると、そこに白インクがのっている状態…ということになり、選択範囲をするときに、ホワイトの所だけが選択されません。後でトーンを貼る際は、そのホワイトのレイヤーを線画レイヤーと統合すれば問題ありません。もちろん「もう後は修正しない…これで完璧!」という確認をしてから統合しましょう。
 これで修正完了です。下のイラストの状態ですね。
 なお後で修正前の状態に戻りたくなる場合にそなえて、こまめにデータを保存しておいたほうがいいでしょう。つねに上書き保存していると、いざという時に戻れないので、ゲームなどのセーブデータと同じように、重要な変更がある際はファイル名を変えて別に保存しておきましょう。また保存先などを分けて(別のHDDやCD-RW、USBフラッシュメモリなどに)保存しておけば、HDDが壊れた…などの不測の事態が起きても最悪すべてのデータがなくなるということはありません。

●トーンを貼ってみよう

 準備が長くなりましたが、ここからトーンを貼る工程に進みます。パソコン作画ソフトにはアミ点トーンの他にも、柄のトーンなども収録されていますが、作業の基本は同じです。サンプルではアミ点トーンを髪の毛に貼ってみます。

 まずはマジックワンドツールなどでトーンを貼りたい箇所を選択します。画像は女の子の髪部分を選択してます(実際には選択範囲は点線で表示されますが、わかりやすくするために画面では紫色で囲ってあります)。
 選択範囲をする時に出るランチャーの右端で、アミ点などの簡単なトーンは貼れますが、基本的には「素材」から貼るのが良いでしょう。
 ちなみにこちらがランチャーで新規トーンを選択した際に出る画面です。アミ点や線などの種類や濃度など調節してからOKボタンで貼れます。
 戻ります。「素材」から貼りたいトーンを選択し、左上の素材の貼り付けボタンでトーンが貼れます。
 トーンを貼り終えた状態です。
 「え、これだけ?」と思われるかもしれませんが、本当に簡単ですね。むしろ、この前の修正のほうが大変です。気に入らなければ、1ステップ前に戻って、いくらでもやり直せます。

 次回は、グラデーションなどのトーン応用編です。お楽しみに!(6月2日(月)更新予定)
サンプルまんが作成 (C)十神 真
[パソコン作画編第7回]
ベタを塗る
 いよいよ実際の仕上げ過程に入っていきます。ベタ塗り→トーン貼り→ホワイト処理、と進んでいきますが、今回はベタ塗りについて解説していきます。基本はどのソフトも同じですが、今回もComic Studioを使ってみます。

●ベタ塗り前に線の太さを調整しておく

 ベタを塗る前に画線幅の調整をしておきましょう。最初にスキャナーで取り込んだ線画は場合によっては、イメージより太かったり、細かったりしますので、適正な線幅に修正します。
 取り込んだ線画のレイヤーのプロパティを開きます。右下の「閾値」の数値を増減させると線の幅が変わります。
 閾値を下げると、画面のように太く力強い線に、
 閾値を上げると、細くシャープな線になります。
 この値を調整して、気に入った線幅になるようにします。線幅はベタ塗り後でも変えられますが、塗った後に線を細くすると、下の画面のようにベタと線の間に白が出てしまいますから、なるべくベタ塗り前に線幅は調整しておいたほうがいいでしょう。

●ベタを塗る範囲を決めて塗りつぶす

 線幅の下準備が終わったら、ベタを塗っていきます。まずはベタ塗り専用のレイヤーを作ります。  次に、塗りつぶしたい範囲を決めるために、マジックワンドツールを選びます。ツールアイコンの中から魔法の杖みたいなアイコンを選び、塗りつぶしたいところでクリックします。
 塗りつぶしたい範囲が点線で囲まれます。
(点線部分をわかりやすく緑色で表示しました。実際には点で囲まれるだけで色は付きません。)
 メニューから「選択範囲を塗りつぶし」を選びます。
 塗りつぶす色(ここでは黒)を選びます。これでベタが塗られます。
 またComic Studioの最新版では、選択範囲を作成すると「選択範囲ランチャー」というバーが下に出てきます。ここから簡単に塗りつぶすこともできます。
 基本はこれの繰り返しです。失敗したり、ここはベタじゃない方が良かったというなら、手順を前に戻せますから、簡単にやり直しができます。最終的に右の画面のような形でベタ塗り完了となります。

 次回は「トーン処理」です。基本手順はベタ塗りと同様ですが、トーンならではの技なども紹介していきたいと思います。お楽しみに!(GWで1回お休みします。次回の更新は5月19日(月)の予定です)
サンプルまんが作成 (C)十神 真
[パソコン作画編第6回]
枠線をひく
 スキャナーで線画の取り込みが終わったら、まず枠線をひきます。パソコン作画なら、この枠線も自在に太さや間隔、サイズが変えられます。定規を使って平行・垂直をだす必要もありません。また、コマからはみだした線画を自動で消す設定にすることもできます。一度使うと、その便利さに驚かされます。では、具体的な手順を解説していきましょう(ソフトはComic Studioを使います)。

●枠線をひく手順

(1)枠線定規レイヤーをまず作ります。レイヤーウィンドウにある「定規」の横のボタンを押して作ります。レイヤーウィンドウの上部分にある「新規レイヤーの作成」ボタンか上のメニューバーの「レイヤー」から「新規レイヤーの作成」でも可能です。この枠線定規レイヤーで、まず「枠線の下書き」をします。
(2)ページ内側にある基本枠の所に青い太枠ができます。
(3)枠線定規レイヤーのプロパティです。ここで引くワク線の太さなどを設定できます。 (4)ツールボックスから「枠線定規カット」というツールを選択します。なお、ツールオプションから線の間隔などが設定できます。
(5)さくさくとコマを割ってる途中の画像です。
(6)コマを割った後です。四角で囲まれた「調整が必要な枠線」をこれから動かします。
(7)ツールボックスの「定規選択」ツールを選択。動かしたい線を選択しました。線が赤くなっています。
(8)選択した赤い線を移動させている画面です。そのすぐ左にある青いのが動かす前の位置です。
(9)タチキリにしたいときもまず定規選択ツールで移動したい線を選択します。ページの一番下の枠線をタチキリにしてみましょう。
(10)下の枠線を下げていきます。タチキリの場合、枠を完全に外に出さず画像のように原稿の内側にとどめ、描いた線画の所までしか下げません。線画がめいっぱい描かれてないのに枠線が外に出てると、枠と線画の間に空白が生まれてしまい、後々作業をするときに範囲選択がしづらくなってしまうからです。
(11)コマを割り、タチキリなどもできたら、枠線の下書きは終わりです。これから、青線で引かれた枠線を黒い実線にします。定規選択ツールで割ったコマをすべて選択します。画像のように線がすべて赤くなってる状態です。
(12)メニューバーの「レイヤー」から「レイヤーのラスタライズ」を選択します。右にあるレイヤーウィンドウの右上部分にある「メニュー表示」からもラスタライズができます(×マーク下のメモに三角矢印がくっついたようなマークの所です)。
(13)ラスタライズの前に、プロパティでも設定が可能です。コマを割るときに線幅の設定を説明しましたが、この段階で線幅を設定しても良いでしょう。
(14)黒い枠線が引かれたレイヤーができました。一応完成です。ただ、枠線の外(コマ間)は白く塗りつぶす設定になっているので、本来枠線からはみ出る「ドーン」などの描き文字が消えてしまっています。
(15)こちらは、枠線の外を白く塗りつぶさない設定にしたものです。これならば、描き文字は見えますが、余計な部分も出てしまいます。
(16)そこで、枠線の外にはみ出る描き文字だけを出してみます。
(17)枠線のレイヤーの不透明度を落とします。うっすらと枠線レイヤーとかぶってしまってる所が見えます。
(18)赤線の部分の枠線レイヤーに消しゴムをかけます。下のレイヤーにある「ドーン」の文字を出てきます。このあと、枠線レイヤーの不透明度を元に戻してやります。他にもやり方はありますが、これが一番わかりやすいやり方です。
 いかがでしたか? 手順とすれば一見面倒ですが、慣れると手描きにはもう戻れません。なお、今回はComic Studioを使用しました。枠線をひくことは当然Photoshopなどでもできますが、これほどの機能は他のソフトにはありません。

 さて次回は、ベタ塗りの手順を紹介してゆきます。お楽しみに!(4月21日(月)更新予定)
サンプルまんが作成 (C)十神 真
[パソコン作画編第5回]
レイヤーって何?
 ちょっと番外編っぽくなりますが、今回は『レイヤー』のお話です。レイヤーはパソコンでまんが作画するときに、とても大切な概念であり、機能です。これをきちんと理解することで、背景と人物を自在に重ね合わせたり、一部のトーンだけ簡単に修正したりすることができます。

●レイヤーはアニメのセル画みたいなもの

 右の絵を見てください。この絵は様々なパーツの組み合わせで1枚の絵になっています。フキダシだけの絵、描き文字だけの絵、背景…など全部で7枚の絵が合成されています。
具体的に見てみましょう。下のイラストは、ソフトのレイヤー機能のウィンドウと、それぞれのレイヤーに対応した7枚の絵の重なり具合をあらわしています(使用ソフトはPhotoshopです)。
 これがレイヤー機能です。イメージはアニメのセル画でしょうか。透明なセル画に人物などの絵を描き、背景画と重ね合わせると、人物が手前に見えます。さらにもう1枚、セル画に人物を描いて重ねることもできます。この1枚1枚のそれぞれのセル画がレイヤーです。コミックの場合は1つの絵がだいたい数枚ていどのレイヤーで構成されていますが、カラーイラストなどでは数十枚ものレイヤーを使うこともあります。

●レイヤーを使いこなせば作画は楽になる

 一見すごく面倒ですが、レイヤーを分けて絵を描くことには様々なメリットがあります。それは、
(1) 修正をしやすくする
(2) 重なり具合や位置を検討できる
(3) おもしろい効果を出すことができる

などです。
 例えば、上の絵を普通に原稿用紙にペンで描いたとしましょう。描き終わった後で、「もっとフキダシを小さくしたい」と思ったら、バックのプラットホームの屋根を描き足さなければなりません。「人物の位置をもっと線路寄りにしたい」なら、もっと大変です。
 こんな場合、フキダシや人物、背景などがそれぞれ別のレイヤーになっていれば、フキダシを大きくするだけでOKですし、人物だけの絵をずらすだけで大丈夫なのです。背景のレイヤーはイラストのように完全な一枚絵になっていますから、この上に重なっている人物のレイヤーだけを移動させれば完了です。簡単ですね。

 また、それぞれのレイヤーは重ねる順序や表示・非表示を変えることで見え方が違ってきます。ソフトのレイヤー機能で描き文字とフキダシのレイヤーを非表示にすれば、右のような絵になります。

 それぞれのレイヤーの画線以外をすべて透明にすれば、右の絵のような効果を出すこともできます。
 いかがでしょうか? 面倒に思うかもしれませんが、レイヤー機能はパソコン作画ならではの強力な機能です。パソコンで作画するプロの作家さんは、このレイヤー機能に習熟しています。というか、レイヤーを使いこなせないと仕事になりません。
 今回は、レイヤーの説明のために、細かくレイヤーを分けましたが、実際はもっと少ないレイヤー枚数で済ます作家さんもいます。とりあえず、いろいろ試してみて、まずはこのレイヤー機能に慣れてください。

 次回は、実際の作画に戻ります。取り込んだ原稿を仕上げていきますが、今回お話ししたレイヤーの具体的な使い方になります。お楽しみに!(4月7日(月)更新予定)
サンプルまんが作成 (C)村川和宏
[パソコン作画編第4回]
まんが原稿をパソコンに取り込む
 今回から、パソコンを使った作画の実践になります。作業の手順としては、
[1] まず、線画の原稿用紙をスキャナーでパソコンに取り込む
[2] ワク線などを描き入れる
[3] ベタ塗り・トーン貼り・背景処理
[4] 修正作業
[5] プリントアウト・確認など

という流れになります。まずは[1]のまんが原稿の取り込みについて、ご紹介します。なお特に断り書きがない限り、使用ソフトは『Comic Studio Debut』です。

●原稿用紙の設定をする

 まず最初にやることは、画面上にまんが原稿用紙を作ることです。Comic Studioのファイルメニューから新規作品を選び、B4サイズの原稿用紙設定をします。下の画面写真がそれです。すでにB4まんが原稿用紙のテンプレートがあるので、それを利用すればいいでしょう。
ここで大切なのは基準解像度です。600dpiを選びます。dpiとは解像度を表す単位で、数値が大きいほど細かい表現が可能になります。プロの作家さんがパソコン作画する場合も600dpiで作画します。また基本表現色はモノクロ(グレースケール)を選択。この設定が終わると、画面上に青い基準線が入った原稿用紙が表示されます。この原稿用紙上でまんがを描いたり、修正を入れたりしていくのです。

●線画の原稿用紙をA4スキャナーで分割スキャンする

 パソコンソフト上の原稿用紙に線画原稿を取り込みます。パソコン作画編第2回でも紹介しましたが、このとき必要なのがスキャナーと呼ばれる機械です。プロの作家さんはB4の原稿用紙を一発で取り込めるA3対応スキャナーを持っていますが、高価ですし、製品数も多くありません。一般的に普及しているのはプリンターと一体になった複合機でしょう。これなら約2万円くらいから手に入ります。ただし、A4までのサイズの原稿しか取り込めません。ここではA4スキャナーでの分割取り込みの方法をご紹介します。右のB4線画原稿を取り込んでみます。
 Comic Studioのファイルメニューから取り込みを選び、スキャナーを立ち上げます。絵が描いてある面をスキャナーの読み取り面にあて、まず原稿の上半分をA4スキャン。次に、原稿をずらして下半分をA4スキャンします。本来は1枚の原稿を上下に分割して2枚の画像にするわけです。
 スキャンの設定は、やはり600dpi、モノクロ(グレースケール)とします。スキャン時の注意点は、原稿をスキャナーのガイドにきちんとあてて、ずれたりゆがんだりしないようにすることです。スキャン後は次のような2枚の画像になります。

●分割された原稿を1枚に合成する

 2枚の画像を1枚に合成します。最初に作ったB4原稿用紙に、2枚の画像を重ねます。このままでは、分割してスキャンしたときの画像のズレがありますから、真ん中あたりで、ブレて重なったようになります。
 これを修正します。上半分画像、下半分画像を原稿用紙の基準線に注意しながら、それぞれ移動させ、ぴたりと重なるようにします(正確に重ならないことも多いので、だいたいでもかまいません)。
 これで位置は合いました。しかし真ん中あたりで画像は重なったままです。そこで重なっている余分な部分をカットします。コマとコマの段間で絵のない部分を境に不要な箇所を領域選択し、カットします。図では下半分の画像から不要な部分をカットしていますが、同様に、上半分でも不要部分をカットします。
 そして上半分画像、下半分画像を合成して1枚の画像にします。

●ゴミがないかどうかチェックしよう

 スキャナーから原稿を取り込むときに、読み取り面や画稿についたゴミも読み取ってしまうことがあります。パソコン画面上では気が付かなくても、プリントアウトしたときにしっかり出てしまうことがありますから、画像を拡大モードにしてゴミのチェックをします。
 画面で青く囲ったところがゴミです。消しゴムツールもしくは領域選択→カットでこのゴミを取り除きます。これで1ページ分完了です。

 実際には、この作業をページ数分繰り返しますから、けっこう大変です。ただ一度パソコンに画像を取り込んでしまえば、あとの作業は楽ですから、がんばってください。なお、今回の作業中、パソコン作画する場合の重要な概念である「レイヤー」についての解説は省いてしまいました。原稿用紙に2枚の画像を重ねたり、1枚に合成したりする場合、このレイヤーという概念を理解しておかねばなりません。次回、このレイヤーについて詳しく紹介します。お楽しみに!(3月17日(月)更新予定)
[パソコン作画編第3回]
まんが制作ソフト
 パソコン作画をする場合、Comic StudioやComicworksなどのまんが制作専用ソフトを使うか、PhotoshopやPainterのようなグラフィック系ソフトを使うことになります(両方のソフトを機能によって使い分ける作家さんもいます)。今回はこのうちまんが制作専用のソフトにしぼって機能や使い勝手を紹介したいと思います。

●セルシス「Comic Studio4.0(コミックスタジオ)」

 多くのプロ作家さんも使っているソフトで、現在バージョン4.0になっています。非常に多機能で、このソフトがあれば、絵コンテ(ネーム)から下描き、作画、印刷まですべてのまんが制作工程がパソコン上でできてしまいます。反面、すべての機能を使いこなすにはかなりのスキルが要求されます。
製品のラインナップは、
○入門版の「Comic Studio Debut(デビュー)」12,600円
○プロ仕様の「Comic Studio PRO」25,200円
○最上位版の「Comic Studio EX」48,300円

 Comic Studioはグレード毎の機能差が大きく、本格的に使うならPRO版以上が必要です。PRO版以上なら3,000種類以上のトーンが使えますし、EX版ならデジカメで撮影した写真を背景用に加工してくれる「2DLT機能」などが使えます。

●デリーター「Comicworks Ver.2(コミックワークス)」

 Comic Studioほど多機能ではありませんが、必要な機能にしぼってシンプルな操作ができるように考えられたソフトです。スキャナーから取り込んだまんが原稿を仕上げるのに特化しているといってもいいでしょう。入門版でもPhotoshopのPSD形式のファイル入出力ができるので、いくつかのソフトと連携しながら使うのにもいいと思います。
製品のラインナップは、
○入門版の「Comicworks Ver.2」8,925円
○上位版の「Comicworks Ver.2 MAX」19,740円

 上位版との違いは収録トーンの数と解像度(入門版は200種類、MAXは800種類・1200dpi対応)だけなので、入門版でも十分だと思います。

●両ソフト入門版の機能比較

 2つのソフトの入門版(「Comic Studio Debut」と「Comicworks Ver.2」)でできることをまとめてみました。まんが制作に最低限必要な機能をピックアップしています。なお操作感は、両ソフトを数年前のパソコン(Celeron 2.3GHz メモリー1GB Windows XP Home)にインストールして使ってみたもので、あくまで主観です。
  Comic Studio Debut 4.0 Comicworks Ver.2  
ペン機能


丸ペン・カブラ・G・スクール・筆などペン先の選択が可能。入り・抜きもつけられる。
手ぶれ補正あり。


基本的にはペン先の種類はなし。鉛筆かペンか筆といった感じ。
手ぶれ補正あり。
 
消しゴム機能  
ブラシ機能
種類が豊富。エアブラシ・マジック・鉛筆はもちろん様々なパターンブラシ(カケアミなど)あり。

エアブラシ・鉛筆・ペン…とシンプル。
 
ライン機能 ともに直線・曲線・折れ線などが引ける。線の入り抜きも調整可能。
集中線機能
線幅や間隔など細かく設定可能。曲線にすることもできる。

線幅等設定可能。ウニフラッシュの集中線フィルタがあり、好みのウニフラッシュが手軽に作れる
 
レイヤー機能
上位版にあるベクターレイヤー(解像度に依存しないレイヤーで拡大縮小等しても線が崩れない)機能はない
 
範囲選択機能 選択方法は双方ほぼ同じ。
読み込みファイル形式 BMP・JPEGのみ読み込み可。PSDの読み込みができないのがネック BMP・JPEG・PNG・PSDの読み込み可能。 業界で多用されるPSD形式に読み込み書き出しともに対応できている点でComicworksがよい。
書き出しファイル形式 BMP・JPEG・PSD BMP・JPEG・PNG・PSD  
スクリーントーン ともに上位版と比べ種類が少ない。
ペンタブレットでの線の入り・抜き ともに筆圧での強弱表現が可能。
スキャナーからの画像取り込み
しかし高解像度(1200dpi)などで取り込んでも上位版のMAXでないと高解像度のトーンが入っていない。
 
600dpiでの描画 ともに問題なし。
セリフの書き込み
文字入力だけでなくあらかじめ登録されたフキダシパターンが利用できる。
 
操作感 上位版と比べ相当な機能制限があるが、それでも多機能と感じる。
細かくツールの設定ができるし、パレットなども使いやすい。
4.0は初心者向けのビギナーズアシスタントというインターフェイスもある。ソフトの動作は少々重い。
ブラシツールの少なさや、画像の拡大・縮小やブラシのサイズ変更が少々面倒など…気になる点もあるが、定規ツールでは定規のシルエットが画面に出てくるなど、とっつきやすく作られている。
ソフトの動作自体も軽い。
 
※表の中の○はその機能があることを示しています。

 両方のソフトとも、まんが作画に必要な機能は十分満たしています。もちろん操作感はそれぞれ違いますが、このあたりは慣れの部分が大きいので、好みで選んでいいと思います。

 次回からは、これらのソフトを使って、具体的にまんが制作をしてみます。お楽しみに!(3月3日(月)更新予定)
[パソコン作画編第2回]
パソコン作画に必要なもの
 前回もお話ししましたが、パソコン作画するためには、いろいろと機材を揃えなければなりません。本格的にパソコン作画するとなると、相当の出費になります。「高額な投資をしたけど結局使いこなせなかった」なんてことになるかもしれませんから、最初は低価格なものを使ってみて、「これなら使えそうだ」となってから、導入するのがいいでしょう。
 このまんが家養成講座でも、なるべく高価な機材を使わずに作画する方法を紹介していきます。では最低限どんな機材が必要になるのでしょうか。

●必要なもの1:パソコン本体

 まずはこれがあることが前提です。機種ですがWindowsXP,Vistaが動作するパソコンです。Windows98やWindows Meなどの古いパソコンの場合、まんが制作ソフトが動かない場合があります。なおMacでも描けないことはありませんが、このまんが家養成講座では対象外です。

 家族みんなで使っているパソコンでも、あなた個人で使っているものでもかまいません。ノートブック型でも大丈夫ですが、できれば写真のようにモニター、本体、キーボードなどが分離したデスクトップ型のほうが使いやすいでしょう。またパソコンによって快適性はずいぶんと変わります。当然最新型がいいのですが、使い勝手を体験するだけなら、5~6年前のパソコンでも使えるようです。

●必要なもの2:ペンタブレット

 まんが作画ならではの機器です。板のような本体に専用のペンで、絵を描くような感じで使用します。ここに描いた絵がパソコンの画面上に反映されます。筆圧なども検知してくれますから、線にタッチをつけたりすることも可能です。

 写真で紹介したのは、ワコムの『BAMBOO(バンブー)』という製品です。A6サイズと小さいのですが、低価格(約1万円)です。まんが制作用の体験版ソフトが同梱された『BAMBOO COMIC』も販売されています。

●必要なもの3:まんが制作ソフト

 上で紹介した『BAMBOO COMIC』には、『Comic Studio MINI』や『Comicworks体験版』などのまんが制作ソフトが付属していますから、あえてソフトを購入しないくてもいいでしょう。ただしこういった付属のソフトは製品版と比べ、機能が制限されていることが多く、データ保存に制約があったり、使えるトーンが少なかったりします。体験ということなら、これでも十分ですが、できれば専用のソフトの入門版を購入することをおすすめします。付属版に比べ、機能制限が少なく、上位版への移行も容易だからです。

 写真で紹介したのは、どちらもまんが制作専用の入門用ソフトウェアです。
『Comic Studio Debut』はセルシスの製品で、プロのまんが家さんも多く使っている『Comic Studio』シリーズの入門版です。価格は約1万円。
『Comicworks』はトーンやまんが用品で有名なデリーターの製品です。200種もの豊富なトーンが使えます。価格は約8000円。
 まんが専用ではありませんが、アドビの『photoshop』を使用しているまんが家さんもたくさんいます。低価格版の『Photoshop Elements』ならば1万円~1万5千円で購入できます。

●必要なもの4:スキャナー

 どの段階からパソコン作画をするかによって、この機器が必要になるかどうかが決まります。絵コンテや下描きの段階からパソコンを使ってまんがを描くのなら、なくても大丈夫です。しかし、このまんが家養成講座ではプロの作家さんの主流である「仕上げの段階でパソコンを使う」ことをメインに紹介していきます。まずは普通に原稿用紙にインクとペンで描いて、トーンやベタ塗り、修正などをパソコンで行う方法です。そのためには線画を描いた原稿をパソコンに取り込む作業が必要になります。このときに使うのがスキャナーです。コピー機のように、上面の画像読みとり面に原稿をおいて使います。

 写真はある作家さんが愛用しているスキャナーです。MUSTEK(マステック)という会社のUSB接続A3版フラットベットスキャナーで、ネットで探して購入されたそうです(3~4万円)。B4版の原稿用紙をスキャンするには、こういったA3版対応の大型スキャナーが必要なのですが、製品数がとても少なく、国内メーカーなどではエプソンのESシリーズなどがありますが、いずれも10万円を越える価格です。
 A3版のスキャナーは高価ですが、みなさんの家に、プリンターとスキャナーが一体になった複合機はありませんか? A4版のスキャナーや複合機なら、製品数も多く、低価格です。B4の原稿を一発で取り込むことはできませんが、分割してスキャンすることで、このような製品でも代用できます(方法は次回以降に紹介します)。

●必要なもの5:プリンター

 まんがを描くだけなら必要ありませんが、作品を新コミに応募したり、紙にどう印刷されるかの確認用に必要です。応募原稿サイズのB4で印刷できるレーザープリンターやインクジェットプリンターがあるとベストですが、こちらも高価ですから、確認用であれば、A4サイズの印刷ができる複合機やインクジェットプリンターでかまいません。(現在の小学館新人コミック大賞の応募規定では、手描きもパソコン作画もB4の原稿サイズで応募することになっています。B4へのプリント出力に関しては、後日対応方法を紹介します)

※なお、ここで紹介した製品の価格はあくまで目安です。実際の購入価格はネットなどで検索してください。

 次回はパソコン作画用のソフト(Comic Studio DebutやPhotoshop Elementsなど)について、使い勝手などを紹介してみたいと思います。お楽しみに!(2月18日(月)更新予定)
[パソコン作画編第1回]
パソコンでできること
 初級編、実践編と続けてきた『まんが家養成講座』ですが、今回からまんが作画でトレンドの「パソコンを使った作画」について紹介していきたいと思います。最近はプロの作家さんだけでなく、新人コミック大賞の応募でもパソコン作画作品がみられるようになってきました。ただパソコン作画はこれまでに解説した方法とはまったく違うテクニックが必要になってきます。勝手が違うので戸惑うことも多いのですが、使いこなせれば、とても便利なツール(道具)になります。
 ただしあくまで道具ですから、これだけで絵が上手くなるわけではありません。また本格的に使うためには相当のお金がかかります。それでもこういう作画の方法があるということは知っておいて損になることはありません。

●パソコンでまんがを描くってどういうこと?

 右の写真を見てください。これはあるプロ作家の方のパソコン作画環境です。キーボードの向こう側にあるのは、ペンタブレットというものですが、これに専用のペンで絵を描いていくことになります。描いた絵はその奥にあるモニターに映し出されます。

 パソコンをお持ちでしたら、グラフィックソフトを使って簡単なお絵描きなどをしたことがあると思いますが、基本はその延長です。また作家さんによってパソコン作画の程度はまちまちで、
[1]絵コンテから仕上げまで、すべてパソコンで描く
[2]線画までは原稿用紙とペンで描き、以降の仕上げをパソコンで行う
[3]ベタ・トーン処理のみパソコンで行った後、原稿用紙に出力して、手描きで修正をする
など様々なスタイルがあります。
 主流は[2]で、アシスタントさんが担当する作業をパソコンで省力化しようという目的で使っている作家さんが多いようですね。

●パソコン作画の便利なところと不便なところ

 パソコンで作画するメリットは何でしょう。一例をあげてみましょう。

 左の線画イラストにベタを塗ったり、トーンを貼ったりしたい場合、従来でしたら、筆でスミを塗ったり、トーンをカッターで切り抜いて貼ることになります。これがパソコンの場合、簡単な操作で一瞬で完了します。

 しかもはみ出しを気にしたり、失敗することはありません。また、「やっぱり髪の毛はトーンの方がよかったかな、服も別の柄で…」などのときも、手順を戻してやり直しできます。

 実際の見え方のシミュレーションが簡単にできるわけです。気に入らなければ何度でもやり直しができます。
 ここで紹介したのはほんの一例ですが、パソコン作画のメリットをまとめてみましょう。
○失敗してもやり直しが簡単
○トーン貼りやベタ塗りが一発でできる
○修正が楽にできる
○人物配置や描き文字・フキダシ位置などの検討もできる
○トーン代などがかからない
○ワク線などの均一な線が簡単に引ける


などでしょうか。もちろんデメリットもあります。

×機材を揃えるのにお金がかかる
×操作を覚えるのに時間がかかる
×仕上げなどはきれいにできるが、絵がうまくなるわけではない
×パソコンが壊れたり、などのトラブルに弱い
×絵にアナログ感がなくなり、単調になりやすい


 このメリットとデメリットをあなた自身で判断し、パソコン作画をするかどうか決めてください。お試し用のソフトウェアなども販売されているようですから、まずはそれを使ってみて、気に入ればパソコン作画環境を整えるというのがいいと思います。
 なおパソコン作画した作品だから、新人コミック大賞の審査で有利になったり、不利になったりすることはありません。

 次回はパソコン作画に必要なソフトウェアや機材について紹介したいと思います。お楽しみに!(2月4日(月)更新予定)
調べたい言葉を入力しよう!
(C) Shogakukan All rights reserved.