[パソコン作画編第6回]
枠線をひく
 スキャナーで線画の取り込みが終わったら、まず枠線をひきます。パソコン作画なら、この枠線も自在に太さや間隔、サイズが変えられます。定規を使って平行・垂直をだす必要もありません。また、コマからはみだした線画を自動で消す設定にすることもできます。一度使うと、その便利さに驚かされます。では、具体的な手順を解説していきましょう(ソフトはComic Studioを使います)。

●枠線をひく手順

(1)枠線定規レイヤーをまず作ります。レイヤーウィンドウにある「定規」の横のボタンを押して作ります。レイヤーウィンドウの上部分にある「新規レイヤーの作成」ボタンか上のメニューバーの「レイヤー」から「新規レイヤーの作成」でも可能です。この枠線定規レイヤーで、まず「枠線の下書き」をします。
(2)ページ内側にある基本枠の所に青い太枠ができます。
(3)枠線定規レイヤーのプロパティです。ここで引くワク線の太さなどを設定できます。 (4)ツールボックスから「枠線定規カット」というツールを選択します。なお、ツールオプションから線の間隔などが設定できます。
(5)さくさくとコマを割ってる途中の画像です。
(6)コマを割った後です。四角で囲まれた「調整が必要な枠線」をこれから動かします。
(7)ツールボックスの「定規選択」ツールを選択。動かしたい線を選択しました。線が赤くなっています。
(8)選択した赤い線を移動させている画面です。そのすぐ左にある青いのが動かす前の位置です。
(9)タチキリにしたいときもまず定規選択ツールで移動したい線を選択します。ページの一番下の枠線をタチキリにしてみましょう。
(10)下の枠線を下げていきます。タチキリの場合、枠を完全に外に出さず画像のように原稿の内側にとどめ、描いた線画の所までしか下げません。線画がめいっぱい描かれてないのに枠線が外に出てると、枠と線画の間に空白が生まれてしまい、後々作業をするときに範囲選択がしづらくなってしまうからです。
(11)コマを割り、タチキリなどもできたら、枠線の下書きは終わりです。これから、青線で引かれた枠線を黒い実線にします。定規選択ツールで割ったコマをすべて選択します。画像のように線がすべて赤くなってる状態です。
(12)メニューバーの「レイヤー」から「レイヤーのラスタライズ」を選択します。右にあるレイヤーウィンドウの右上部分にある「メニュー表示」からもラスタライズができます(×マーク下のメモに三角矢印がくっついたようなマークの所です)。
(13)ラスタライズの前に、プロパティでも設定が可能です。コマを割るときに線幅の設定を説明しましたが、この段階で線幅を設定しても良いでしょう。
(14)黒い枠線が引かれたレイヤーができました。一応完成です。ただ、枠線の外(コマ間)は白く塗りつぶす設定になっているので、本来枠線からはみ出る「ドーン」などの描き文字が消えてしまっています。
(15)こちらは、枠線の外を白く塗りつぶさない設定にしたものです。これならば、描き文字は見えますが、余計な部分も出てしまいます。
(16)そこで、枠線の外にはみ出る描き文字だけを出してみます。
(17)枠線のレイヤーの不透明度を落とします。うっすらと枠線レイヤーとかぶってしまってる所が見えます。
(18)赤線の部分の枠線レイヤーに消しゴムをかけます。下のレイヤーにある「ドーン」の文字を出てきます。このあと、枠線レイヤーの不透明度を元に戻してやります。他にもやり方はありますが、これが一番わかりやすいやり方です。
 いかがでしたか? 手順とすれば一見面倒ですが、慣れると手描きにはもう戻れません。なお、今回はComic Studioを使用しました。枠線をひくことは当然Photoshopなどでもできますが、これほどの機能は他のソフトにはありません。

 さて次回は、ベタ塗りの手順を紹介してゆきます。お楽しみに!(4月21日(月)更新予定)
サンプルまんが作成 (C)十神 真
[実践:めざせ!受賞編第12回]
コマ割りと構図(2)
 今回はタチキリや変形ゴマの使い方についてお話ししたいと思います。コマの基本はワク線で四角く囲んだものですが、もっと迫力を出したい、もっと印象的にしたいなどの場合、変形ゴマなどを使うことがあります。多用すると読みづらくなってしまいますが、ここぞというシーンで使うととても効果的です。

●絵が広く描けるタチキリ

 まんが雑誌を読んでいると、紙いっぱいに描かれたコマをよく見かけます。タチキリ(裁ち切り)というコマです。原稿用紙の版面(内側の青色の線)からはみ出して描きますが、広くコマがとれるので、背景をきちんと描き込んだり、キャラも大きく描くことができます。変形コマの一種ですが、多用してもさほど読みづらくならないため、最近はほぼ全ページをタチキリで描くまんが家さんもいるようです。例をあげてみましょう。
 各1コマ目を変えてみました。[1]は通常のコマ、[2]がタチキリのコマです。全体のコマの配置を変えずに、[2]は背景や人物が大きくできます。新キャラの登場シーンなどでは効果的ですね。[3]はさらにワク線をなくしてみました。絵がさらに広々としますが、これは多用せず、アクセント的に使ったほうがいいと思います。
 なお、右のイラストのように、雑誌のノド側(雑誌を綴じている部分)に向けたタチキリもありますが、ノド側は読みにくいので使わない方がいいでしょう。また、タチキリを使う場合はフキダシのセリフ位置にも注意してください。外側にセリフを入れると、切れて読みにくくなったりします。セリフはなるべく版面内に収めてください。


●ここぞというときの見開きカット

 クライマックスなどで、さらに大きく絵を入れたい場合は、右ページ・左ページ両方を使った見開きカットが効果的です。2ページをすべて1カットに使う場合だけではなく、下のサンプルのように上段のコマだけを見開きにすることもあります。
 見開きカットを描く場合の原稿用紙の使い方は通常と少々異なります。下に手順を解説しましたので参考にしてください。

[1] 2枚の原稿用紙の左側・右側を版面の青い基準線から15mmの位置で切ります。
[2] 2枚をくっつけて裏からセロハンテープなどで固定します。
[3] このような1枚の原稿用紙にして使います。この原稿用紙いっぱいに描くわけです。

 タチキリでもお話ししましたが、中心のノド部分は読みにくいのでノドに絵の大切なところがきたり、セリフが入ったりしないよう気をつけてください。なお応募する場合は、テープで固定した中心部分で折り曲げて封筒に入れればOKです。

●変形ゴマで画面に変化を

 通常の四角いコマではなく、斜めや台形にコマをとって表現することもあります。構図との関係で、斜め上からの見下ろすようなアングルなので台形にコマをとりたい、スピードや動きの方向を出したいので斜めにコマをとりたい、などの場合です。変形ゴマは、いいアクセントになりますし、画面に華やかな感じを出したりできるので重宝します。
 下のサンプルでは、同じシーンを、[1]が通常の四角いコマ、[2]が斜めの変形ゴマで表現してみました。サンプルのような動きのあるコマでは、[2]のほうが迫力がありますね。
 もちろん変形ゴマにしても、あまり効果がないこともありますし、多用すると読みづらくなってしまう場合もあります。使いどころと効果を考えて選択しましょう。

 次回はネーム(絵コンテ)の作り方についてです。まんがを描く上で最終的な設計図になるのが絵コンテです。この絵コンテをもとに内容の吟味をしますから、まんが作りで一番大切といってもいいかもしれません。お楽しみに!(7月17日(火)更新予定)
[実践:めざせ!受賞編第11回]
コマ割りと構図(1)
 まんが創りの順番では、ストーリーの次は絵コンテ(ネーム)となるのですが、その前にコマ割り構図についてお話しします。1ページをどのようにコマ割りするか、そのコマにどんな構図の絵を描くのかをおおまかにでも決めないと、絵コンテが描けないからです。なお、コマ割りの基本ルールについては、バックナンバーの初級編第8回『読みやすいコマ割り』を見てください。

●コマはそのひとつひとつに意図がある

 初級編ではコマ割りについてのみ解説しましたが、実はコマ割りと構図についてはセットで考えたほうがスムーズです。ここであらためて、それぞれの言葉について説明すると、

コマ割り…ワク線で区切られた絵(コマ)をページの中で、どんな大きさ・形でどの順番で配置するか、考えること
構図…ひとつのコマの中で描かれる絵(背景や人物、効果など)をどのように表現するか、視点や物体の大きさなどから考えること


 となります。たとえば、主人公とライバルが海にいて、対決しようとしていることをきちんと伝えたいから、背景には砂浜があって、斜め上から見下ろしたような絵に2人を配置する構図にして、大きなコマに。次のコマは主人公の決意にみちた顔のアップを入れよう、大きさは… というようにコマ割りをしていきます。大切なのは、そのコマで何を表現したいかです。それによって構図もコマの大きさ・形なども決まるのです。
 ではサンプルまんがを使って具体的に解説してみましょう。
 学園ラブコメまんがのシーンです。設定は『クラスにかっこいい転校生がやってくる。ヒロインはすごく内気な女の子。その出会い』です。

コマ1 転校生登場
 新しいキャラが登場してきたときは、まずはそのキャラの外見(ビジュアル)をしっかり読者に覚えてもらうことが大切です。身長は高いのか低いのか? 体型は細身・太め? 顔は? 髪型は? などなど。サンプルでは2段分とタチキリをつかってタテ長のコマを大きくとり、なるべく体型がわかるように、また横の先生との対比で背が高くみえるように構図をとっています。

コマ2 クラスメートたちの反応
 転校生の登場を受けて、クラスメートたちはこのキャラをどう思ったのか、その反応です。特に大きくする必要はないコマですが、このコマがあることで『女の子にモテそう…』と印象づけることができます。

コマ3 転校生の顔アップ
 コマ1と対になるコマです。新キャラ登場時の鉄則は、大きめで全身が入るカットと顔がしっかり見える顔アップのカットをセットで入れることです。

コマ4 クラスメートの反応2
 コマ3のしぐさを受けたクラスメートの反応その2です。コマ2と同様のコマですが、さらに反応をエスカレートさせます。このとき、さりげなくヒロインをコマ内に入れ、他の女子との反応の違いを出しておきます。なお、ヒロインの登場はこのページよりずっと前にあったと考えてください。

コマ5 ヒロインの反応
 その他大勢の女子ではなく、ヒロインがこの転校生のことをどう思ったのかをしっかりと印象づけなければいけません。騒いでるまわりをよそに、静かに顔を赤らめることでヒロインの内気な性格と『やはりこの転校生に興味を持ったこと』を顔のアップで表現します。

コマ6 先生の反応
 設定上、先生のキャラがさほど重要でないなら、特に先生の反応は入れずにここは流します。なお流れとしては、このコマの後に転校生がヒロインの席の後ろに歩いていき、席につくことになりますが、そのシーンに何かイベントを入れるのでなければ、必要ないと思います。先生の言葉で後ろの席につくことはわかっているからです。またコマ7ですでに席についていることで時間経過も表現できます。

コマ7 後ろの席の転校生を意識するヒロイン
 後ろの席にきた転校生、意識するヒロイン。前後に座る二人の位置をしっかり見せるため、斜め上からのアングルで、ここもタテ長のコマをとり、版面上のタチキリまで描きます。

コマ8 転校生、声をかける
 後ろから突然声をかけられるヒロインがすごく驚くシーンです。このコマでいきなり叫び声を入れても表現としては成り立つのですが、叫び声の印象がものすごく強いので、転校生が何をしたのかが薄くなってわかりにくくなってしまいます。場合によっては『転校生がなにかHなことをしでかしたのかも…』と意図せぬマイナスなイメージを植え付けかねません。そこで、しっかりと転校生の行動を入れ、ヒロインの刹那の反応にとどめています。

コマ9 ヒロイン、すごく驚く!
 過剰なまでのヒロインの反応を、叫び声のフキダシを大きく、しかもコマ左右いっぱいまでとることで、教室に響き渡るヒロインの叫び声をイメージします。声の大きさとコマの大きさは比例させてあげたほうが印象的になります。なおシーンとしては、ヒロインが叫び声をあげている絵にすることもありでしょうが、ヒロインの正面顔の絵が続いてしまうこと、また叫び声に対する先生およびクラスメートたちの反応の方が絵としておもしろそうなのでこの絵にしました。

コマ10 叫び声へのまわりの反応
 叫び声を発した後のまわりの反応です。立ち上がっているヒロイン、驚いている転校生やクラスメートたちをロングで見せます。叫び声というイベントがあった後にこのコマで落ち着かせます。と同時に、ヒロインの状態を見せることで、転校生がとった行動へのヒロインの感情も提示しておきます。もしこの絵が、ヒロインが後ろの転校生を向いて怒っているような絵でしたら、ヒロインは転校生へのあからさまな嫌悪感を示しているのでしょうし、座って泣いているような絵でも、転校生への嫌悪感につながります。なるべく嫌悪感が生じないように、条件反射的に叫び声をあげた、と思ってもらえるような絵が好ましいので、このような絵にしました(もちろん別な表現もあるかもしれません…)。

コマ11 先生の反応
 お約束です。いったい何があったのかを先生がきいています。流れで必要ではありますが、ここでは重要なコマではありません。

コマ12 転校生の反応
 先生からの問いかけはヒロインに向けられたものと思われます。しかし、ここでヒロインよりも転校生が先に答え、原因を作ったのが自分であること(彼女のせいではないこと)を明確に語ることで、転校生の潔い部分が表現されます。

 いかがですか? ある限定されたシーンですが、構図やコマの割り方をなんとなくわかってもらえたのではないでしょうか。コマのひとつひとつには意図があり、その意図によって絵の内容や大きさ、順番が決まっていくのです。また同じ内容のストーリーでも、人によって表現手段が違うように、コマ割りや構図にも個性が出ます。ここに挙げたサンプルまんがも、描く作家さんによって十人十色で違ったものになるでしょう。『読者が読みやすいように』という基本を守ってさえいれば、こうしないといけないということはないのです。

 次回はコマ割りと構図の第2回です。変形コマやタチキリ、見開きカットなどについて詳しく紹介しましょう。お楽しみに!(7月2日(月)更新予定)
サンプルまんが作成 (C)十神 真
[初級編第8回]
読みやすいコマ割りをしよう!
 まんがはワク線で区切られた絵(コマ)の集まりです。この絵ひとつひとつをどの大きさでどのように配置するのかを "コマ割り" といいます。あなたのまんがが読みやすくなるかどうかは、ひとえにこのコマ割りがうまくできるかどうかにかかっています。まず、5つの"コマ割り"ルールをおぼえましょう。

●ルールその1:右から左、上から下へ!

 たいていのまんが雑誌は右開きですから、コマは右から左へ、そして上から下へと読み進めていきます。下の右イラストのようにわかりやすくコマが配置されていれば、矢印で示したようにスムーズで読みやすくなります。
 ところが、左イラストのような配置にしてしまうと、(1)→(2)→(3)→…と読んでもらいたくても、(1)→(3)→(4)→…と読んでしまう人もいるかもしれません。どちらにも読み進められるようなコマ割りにならないように気をつけましょう。

●ルールその2:コマとコマの間隔にも注意!

 コマとコマの間隔も大切です。左右に隣り合ったコマ間隔はせまく、上下の段間は広くとるのが基本です。次に読んで欲しいコマはコマ間隔をせまくすると、読み手の視線を誘導できるのです。例外的に段間のコマをせまく、左右間隔を広くとると、イラスト右のような読ませ方ができます。なお実際の間隔ですが、広くとる場合は8~10mm、せまくとる場合は4~6mmくらいがいいと思います。

●ルールその3:メリハリをつけよう!

 下の二つのコマ割り例を見てください。どちらが読みたくなるコマ割りでしょうか? 圧倒的に左ですよね。右は同じような大きさのコマがゴチャゴチャ入って、パッと見た感じがとても読みづらそうです。このようにコマの大きさにメリハリをつけると、読みやすいまんがになるのです。なお1ページあたりのコマ数ですが、最大でも8コマまでにとどめたほうがいいでしょう。最初はどうしても詰め込みがちですが、ページあたり5コマくらいにゆったりおさめるようにしましょう。

●ルールその4:コマ割りの検討は見開きで!

 コマ割りを考える時は見開き単位で考えましょう。実際にまんがを読むときのように雑誌を開いた状態でながめてみます。効果的に大きなコマがあるか、ゴチャゴチャして見づらくないか、1ページではちょっとコマが多いかなと思っても、2ページの見開き単位で見るとバランスが良かったりすることもあります。

●ルールその5:変形コマの多用はさけよう!

 コマの基本は四角ですが、動きなどを表現するためにコマを変形させることがあります。左のイラストなどがそうですね。この変形コマを使ったシーンはとても印象的ですが、右のイラストのように使いすぎると、とても見づらくなります。変形コマは、ここぞというときに使うようにしましょう。
 以上5つのルールをふまえた上で、一番大切なことは、
『何を表現したいか、でコマの大きさは変わる』 ということです。
 下のサンプルまんがの1コマ目に注目してください。海の風景です。登場人物が今いる場所を読者に知ってもらうためには必要なコマです。右のコマでも、海であることはわかります。しかし、このサイズのコマでは読者の心には残りません。もしかしたら読み飛ばされてしまうかもしれません。
 登場人物が海辺にいることがとても重要なことならば、もうひとつ下のサンプルのようにします。1コマ目の海の風景を大きくして、人物も描き込んであります。これならば、『登場人物は、今、海にいる。しかも砂浜で海を見つめている…』ことが印象的に伝わるはずです。逆に海にいることがさほど重要でなく、場面転換くらいの意味合いしかないのなら、上の1コマ目でもOKです。
心情や情報を読者に強く訴えたいのなら、コマは大きくすべきなのです。
 次回はフキダシの描き方、セリフの入れ方、そして描き文字についてです。お楽しみに!
(9月19日(火)更新予定)
サンプルまんが作成 (C)十神 真
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