[パソコン作画編第10回]
集中線を描く
 今回は集中線や流線などをパソコンで描く方法を紹介します。アナログの作画では、集中線はけっこう手間のかかる作業ですが、パソコンの場合はフィルター機能を使って、簡単に描くことができます。ただ、とてもきれいに線が引けてしまうので、「無機的に見えてしまう」と、この機能を使わない作家さんもいるようです。使用ソフトはComic Studioです。

●集中線を描いてみる

  では具体的に、集中線を描く手順をみてみましょう。
 上の大きなコマを選択し(画面では薄い緑色で囲った部分)、メニューから「集中線」を選びます。
 真ん中の赤い×印が中心点になります。プロパティで長さや線の間隔や入り抜きなどが設定できます。最初は思ったような集中線にならないかもしれませんが、数値やチェックボックスをいろいろ変えてみて、どのような集中線になるか試してみるといいと思います。特に「乱れ」を指定することで、ある程度の手描き感も表現できます。下にいろいろと数値を変えた例を紹介しましょう。
▼これは「曲率」をいじって曲線の集中線を作ったものです。
▼こちらは内側も外側も「入り抜き」にチェックを入れ、ウニ状にした例。
▼「ずれ」や「間隔」の「乱れ」などを使い、激しい勢いのある集中線です。線はきれいですが、手描き風な感じになりますね。
 気に入った集中線ができたら、プロパティのOKを押して確定させます。レイヤーに集中線などのフィルタを加えたことをあらわす印がつきました。でも「やっぱり少し調整しなおしたい...」という場合はプロパティの集中線を開けば、またやり直しができます。適度な数値を見つけるまでは大変ですが、コツがわかると、とても簡単にできます。

●流線を描いてみる

 同様に、スピード線などの流線もフィルター機能でできます。今度はメニューから「流線」を選びます。やはりプロパティで数値などを変えることで、様々な流線が表現できます。
 数値を変えて、いくつか作ってみましょう。
▼角度を変えてみました。
▼「ずれ」や「乱れ」を使い、激しい流線にした例です。
▼内外両方に「入り抜き」を入れ、曲率を変えた例。暴風のようなイメージが作れます。
 いかがですか? これでいろいろな効果背景が作れそうですね。ところで、Comic Studioのフィルター機能には、もう一つあります。「消失点」です。

●消失点はどう使う?

 上で紹介した、集中線・流線はそのまままんがの背景にも使えるものでしたが、この「消失点」は作画の補助機能のようなフィルターです。建物などを描くとき、2点透視図法できちんとパースを出しますが、この補助線を簡単に描いてくれる機能です。
▼消失点の場所や補助線の間隔などは自分で設定でき、補助線の数も好みで増やせます。
▼この補助線をガイドにして、別のレイヤーで、建物などを正確に描いていきます。邪魔になった補助線はあとでレイヤーごと消してしまえばいいわけです。そうそう使う機能ではありませんが、便利ですね。

 次回は変形機能の紹介をします。「顔を描いたら、目が小さすぎた」、「建物にもっとパースをつけたい」… そんなときに便利な機能です。お楽しみに!(7月7日(月)更新予定)
サンプルまんが作成 (C)十神 真
[パソコン作画編第7回]
ベタを塗る
 いよいよ実際の仕上げ過程に入っていきます。ベタ塗り→トーン貼り→ホワイト処理、と進んでいきますが、今回はベタ塗りについて解説していきます。基本はどのソフトも同じですが、今回もComic Studioを使ってみます。

●ベタ塗り前に線の太さを調整しておく

 ベタを塗る前に画線幅の調整をしておきましょう。最初にスキャナーで取り込んだ線画は場合によっては、イメージより太かったり、細かったりしますので、適正な線幅に修正します。
 取り込んだ線画のレイヤーのプロパティを開きます。右下の「閾値」の数値を増減させると線の幅が変わります。
 閾値を下げると、画面のように太く力強い線に、
 閾値を上げると、細くシャープな線になります。
 この値を調整して、気に入った線幅になるようにします。線幅はベタ塗り後でも変えられますが、塗った後に線を細くすると、下の画面のようにベタと線の間に白が出てしまいますから、なるべくベタ塗り前に線幅は調整しておいたほうがいいでしょう。

●ベタを塗る範囲を決めて塗りつぶす

 線幅の下準備が終わったら、ベタを塗っていきます。まずはベタ塗り専用のレイヤーを作ります。  次に、塗りつぶしたい範囲を決めるために、マジックワンドツールを選びます。ツールアイコンの中から魔法の杖みたいなアイコンを選び、塗りつぶしたいところでクリックします。
 塗りつぶしたい範囲が点線で囲まれます。
(点線部分をわかりやすく緑色で表示しました。実際には点で囲まれるだけで色は付きません。)
 メニューから「選択範囲を塗りつぶし」を選びます。
 塗りつぶす色(ここでは黒)を選びます。これでベタが塗られます。
 またComic Studioの最新版では、選択範囲を作成すると「選択範囲ランチャー」というバーが下に出てきます。ここから簡単に塗りつぶすこともできます。
 基本はこれの繰り返しです。失敗したり、ここはベタじゃない方が良かったというなら、手順を前に戻せますから、簡単にやり直しができます。最終的に右の画面のような形でベタ塗り完了となります。

 次回は「トーン処理」です。基本手順はベタ塗りと同様ですが、トーンならではの技なども紹介していきたいと思います。お楽しみに!(GWで1回お休みします。次回の更新は5月19日(月)の予定です)
サンプルまんが作成 (C)十神 真
[パソコン作画編第5回]
レイヤーって何?
 ちょっと番外編っぽくなりますが、今回は『レイヤー』のお話です。レイヤーはパソコンでまんが作画するときに、とても大切な概念であり、機能です。これをきちんと理解することで、背景と人物を自在に重ね合わせたり、一部のトーンだけ簡単に修正したりすることができます。

●レイヤーはアニメのセル画みたいなもの

 右の絵を見てください。この絵は様々なパーツの組み合わせで1枚の絵になっています。フキダシだけの絵、描き文字だけの絵、背景…など全部で7枚の絵が合成されています。
具体的に見てみましょう。下のイラストは、ソフトのレイヤー機能のウィンドウと、それぞれのレイヤーに対応した7枚の絵の重なり具合をあらわしています(使用ソフトはPhotoshopです)。
 これがレイヤー機能です。イメージはアニメのセル画でしょうか。透明なセル画に人物などの絵を描き、背景画と重ね合わせると、人物が手前に見えます。さらにもう1枚、セル画に人物を描いて重ねることもできます。この1枚1枚のそれぞれのセル画がレイヤーです。コミックの場合は1つの絵がだいたい数枚ていどのレイヤーで構成されていますが、カラーイラストなどでは数十枚ものレイヤーを使うこともあります。

●レイヤーを使いこなせば作画は楽になる

 一見すごく面倒ですが、レイヤーを分けて絵を描くことには様々なメリットがあります。それは、
(1) 修正をしやすくする
(2) 重なり具合や位置を検討できる
(3) おもしろい効果を出すことができる

などです。
 例えば、上の絵を普通に原稿用紙にペンで描いたとしましょう。描き終わった後で、「もっとフキダシを小さくしたい」と思ったら、バックのプラットホームの屋根を描き足さなければなりません。「人物の位置をもっと線路寄りにしたい」なら、もっと大変です。
 こんな場合、フキダシや人物、背景などがそれぞれ別のレイヤーになっていれば、フキダシを大きくするだけでOKですし、人物だけの絵をずらすだけで大丈夫なのです。背景のレイヤーはイラストのように完全な一枚絵になっていますから、この上に重なっている人物のレイヤーだけを移動させれば完了です。簡単ですね。

 また、それぞれのレイヤーは重ねる順序や表示・非表示を変えることで見え方が違ってきます。ソフトのレイヤー機能で描き文字とフキダシのレイヤーを非表示にすれば、右のような絵になります。

 それぞれのレイヤーの画線以外をすべて透明にすれば、右の絵のような効果を出すこともできます。
 いかがでしょうか? 面倒に思うかもしれませんが、レイヤー機能はパソコン作画ならではの強力な機能です。パソコンで作画するプロの作家さんは、このレイヤー機能に習熟しています。というか、レイヤーを使いこなせないと仕事になりません。
 今回は、レイヤーの説明のために、細かくレイヤーを分けましたが、実際はもっと少ないレイヤー枚数で済ます作家さんもいます。とりあえず、いろいろ試してみて、まずはこのレイヤー機能に慣れてください。

 次回は、実際の作画に戻ります。取り込んだ原稿を仕上げていきますが、今回お話ししたレイヤーの具体的な使い方になります。お楽しみに!(4月7日(月)更新予定)
サンプルまんが作成 (C)村川和宏
[パソコン作画編第1回]
パソコンでできること
 初級編、実践編と続けてきた『まんが家養成講座』ですが、今回からまんが作画でトレンドの「パソコンを使った作画」について紹介していきたいと思います。最近はプロの作家さんだけでなく、新人コミック大賞の応募でもパソコン作画作品がみられるようになってきました。ただパソコン作画はこれまでに解説した方法とはまったく違うテクニックが必要になってきます。勝手が違うので戸惑うことも多いのですが、使いこなせれば、とても便利なツール(道具)になります。
 ただしあくまで道具ですから、これだけで絵が上手くなるわけではありません。また本格的に使うためには相当のお金がかかります。それでもこういう作画の方法があるということは知っておいて損になることはありません。

●パソコンでまんがを描くってどういうこと?

 右の写真を見てください。これはあるプロ作家の方のパソコン作画環境です。キーボードの向こう側にあるのは、ペンタブレットというものですが、これに専用のペンで絵を描いていくことになります。描いた絵はその奥にあるモニターに映し出されます。

 パソコンをお持ちでしたら、グラフィックソフトを使って簡単なお絵描きなどをしたことがあると思いますが、基本はその延長です。また作家さんによってパソコン作画の程度はまちまちで、
[1]絵コンテから仕上げまで、すべてパソコンで描く
[2]線画までは原稿用紙とペンで描き、以降の仕上げをパソコンで行う
[3]ベタ・トーン処理のみパソコンで行った後、原稿用紙に出力して、手描きで修正をする
など様々なスタイルがあります。
 主流は[2]で、アシスタントさんが担当する作業をパソコンで省力化しようという目的で使っている作家さんが多いようですね。

●パソコン作画の便利なところと不便なところ

 パソコンで作画するメリットは何でしょう。一例をあげてみましょう。

 左の線画イラストにベタを塗ったり、トーンを貼ったりしたい場合、従来でしたら、筆でスミを塗ったり、トーンをカッターで切り抜いて貼ることになります。これがパソコンの場合、簡単な操作で一瞬で完了します。

 しかもはみ出しを気にしたり、失敗することはありません。また、「やっぱり髪の毛はトーンの方がよかったかな、服も別の柄で…」などのときも、手順を戻してやり直しできます。

 実際の見え方のシミュレーションが簡単にできるわけです。気に入らなければ何度でもやり直しができます。
 ここで紹介したのはほんの一例ですが、パソコン作画のメリットをまとめてみましょう。
○失敗してもやり直しが簡単
○トーン貼りやベタ塗りが一発でできる
○修正が楽にできる
○人物配置や描き文字・フキダシ位置などの検討もできる
○トーン代などがかからない
○ワク線などの均一な線が簡単に引ける


などでしょうか。もちろんデメリットもあります。

×機材を揃えるのにお金がかかる
×操作を覚えるのに時間がかかる
×仕上げなどはきれいにできるが、絵がうまくなるわけではない
×パソコンが壊れたり、などのトラブルに弱い
×絵にアナログ感がなくなり、単調になりやすい


 このメリットとデメリットをあなた自身で判断し、パソコン作画をするかどうか決めてください。お試し用のソフトウェアなども販売されているようですから、まずはそれを使ってみて、気に入ればパソコン作画環境を整えるというのがいいと思います。
 なおパソコン作画した作品だから、新人コミック大賞の審査で有利になったり、不利になったりすることはありません。

 次回はパソコン作画に必要なソフトウェアや機材について紹介したいと思います。お楽しみに!(2月4日(月)更新予定)
[実践:めざせ!受賞編第23回]
仕上げ(6)
 トーンワークの続きです。トーンは重ねて貼ることで、さらに濃い影を表現したり、ユ ニークな効果をだしたりすることができます。今回はこの「トーンの重ね貼り」についてご紹介しましょう。

●トーンを重ねるとどうなるか

 よく使う61番のアミ点トーンを重ねてみます。まったく同じ角度で重ねると、重なったところが少し濃くなりますが、トーンを回転させて重ねてみると、下のイラストのように不思議な模様になります。アミ点トーンならではの「モアレ(干渉縞)」と呼ばれる現象です。重ねる角度によって様々な模様になりますので、手持ちのトーンを使って試してみてください。
 このモアレ、見ている分には面白いのですが、モアレに絶対なってほしくない場合もあります。薄暗いシーンにもう1段濃い影を入れたり、日に焼けた肌にさらに影をつけたい場合などです。
 角度を変えなければ大丈夫、なはずなのですが、きちんと角度を合わせてもモアレになってしまうことがあります。番号の異なるトーンを重ねる場合などです。
 アミ点のトーンは61番とか83番などの番号で呼ばれます。この番号はどんな意味があるのでしょうか? 購入したトーンの隅のほうに、例えば61番のトーンでしたら「60L10%」などと表記されていることがあります。これは次のような意味なのです。
 つまり61番のトーンは「60Lの密度の10%の濃さを持った」トーンというわけです。同様に83番ならば「80Lの密度の30%の濃さを持った」トーンです。
 実はこのLの線数がモアレに大きく関係します。結論から言うと、

 同じL(線数)のトーンならモアレは出ない
 違うLのトーンはモアレが出る


 となります。
 下のサンプルは62番(60L20%)を貼ったカットに、さらに61番(60L10%)を重ね貼りしたものです。
 角度を変えずきちんと貼れば、モアレはでません。なお注意点として、同じLのトーンでも、最初のサンプルのように角度をつけてしまうとモアレが出ること、またトーンのメーカーが異なると、同じLのトーンでもモアレがでることがあります。重ね貼りをするなら、同一メーカーのものにした方がいいようです。

●重ね貼りでグラデーションも表現できる

 右のイラストは、トーンの下側を削りながら、何層か重ね貼りして表現したものです。濃→淡のグラデーション表現です。グラデーション専用のトーンも販売されていますが、シーンに合わせたオリジナルの表現にしたいときなどは重宝します。なおトーンの削りについては、初級編第14回の「トーンを使おう(2)」にくわしく紹介しましたので、参考にしてください。

 さて、『まんが家養成講座 実践:めざせ!受賞編』は今回でいったん終了です。ちょっと時間をいただいて、次回からは問い合わせの多い、「パソコンを使った作画」についてご紹介していきたいと思います。お楽しみに!(2008年1月21日(月)更新予定)

サンプルまんが作成 (C)十神 真
[実践:めざせ!受賞編第22回]
仕上げ(5)
 今回からは仕上げの最終段階・トーンワークについてご紹介します。トーンに頼りすぎるのはどうかと思いますが、適切にトーンを使いこなせば、絵に立体感がでますし、リアルな表現も可能です。特に60番台のアミ点トーンは使用することが多いと思いますので、トーンワークの技術はぜひ身につけたいところです。

●トーンワークの流れ

 初級編の『トーンを使おう』でも紹介しましたが、トーンワークの基本的な手順についておさらいしましょう。なおサンプルイラストはアミ点トーンを使っていますが、やり方自体は他の種類のトーンとまったく同じです。

 イラストの髪の部分にトーンを貼ってみます。

 トーンをあてがって、爪の腹などで仮固定し、貼りたい部分から一回り大きく切り出します。この後の細かい切り出し作業を楽にするためです。なお、もし貼る部分が単純な形状ならば、この段階できちんと切り出して貼った方がいいでしょう。

 トーンを貼りたいところにトーンを仮固定します。ヘラやペン軸の反対側の丸い先端で軽くこすってトーンがずれないようにします。あとできちんと固定しますからこの段階では力を入れてこする必要はありません。

 下の輪郭線にそってトーンを切り出していきます。切り出しは通常のカッターナイフで十分です。細かい作業がうまくできないようなら、より繊細な作業に適したデザインナイフもあります。またカッターは切れ味が命です。トーンに引っかかるようになってきたら、すぐに刃を替えましょう。

 額にかかる髪の毛先など複雑な部分は輪郭線にそって切るより、不要部分のトーンをカッターで削ってから切り出したほうが簡単です。またこのサンプルイラストのような毛先の細かなところは、はがれたり、原稿を重ねる過程で破損したりしやすい箇所です。思わぬ事故を防ぐためにも削りで処理した方が安心だと思います。

 切り出しが終わったら不要部分をはがし、トーンを完全に固定させます。このときかなり力を入れてこすることになりますので、トーン保護のため、トーンに付属する台紙をあててこすります。

 完成です。
 貼る部分が多いとトーンワークはけっこう大変な作業です。またトーン自体高価なので多用するよりも、影や自然物・気象・気候表現などに絞って、アミ点トーンを使うことをおすすめします。

 次回もトーンワークの続きです。トーンの重ね貼りや一歩進んだ表現などのテクニックについてご紹介します。お楽しみに!(12月17日(月)更新予定)

サンプルまんが作成 (C)十神 真
[実践:めざせ!受賞編第21回]
仕上げ(4)
 今回は、修正液(ホワイト)を使った効果と1コマ全部を描き直すときのテクニックについて紹介します。どちらも必須のテクニックというわけではありませんが、知っておくと便利です。

●修正液で効果をだそう!

 単調な黒ベタの絵に表情を加える場合にも修正液は重宝します。たとえば髪の毛を艶やかに見せる場合、筆ペンなどで白を残しながら塗っていくのが基本ですが、まずはベタで塗りつぶしてから、修正液をつけたペンや筆で白く描いても表現できます。
 ハイライトのような効果を出すこともできます。イラストでは瞳のハイライトを修正液で表現しました。なお、けっこう細かい作業になりますので、面相筆を使うようにしてください。普通の丸筆などに比べると高価ですが(1,000円くらいから)、1本あると髪の毛の細かいベタ塗りなどにも使えます。
 また特殊な効果の例ですが、全面黒ベタのコマに修正液をペンにつけて描くこともできます。心理描写の表現などに使うことがあります。
 もうひとつ。これは効果ではありませんが、描き文字を読みやすくするために、修正液で白くフチどることはよくありますね。

●1コマそっくり差し替えるには?

 簡単な修正なら今まで紹介した方法でリカバリーできますが、描き上がってから、このコマだけ描き直したいという場合もあります。その場合は切り貼りという技を使います。あるコマ全体をそっくり白紙にするのです。下にやり方を紹介しましょう。
 カッターの切れ目が目立つ場合は、修正液を多めに盛れば目立たなくなります。なお描き直したいコマの上から新しい紙を貼り付ける方法もありますが、そのコマだけ厚くなって、原稿を重ねる場合にひっかかったりしますので、あまりおすすめしません。

 次回からはトーンワークです。トーンの使い方や効果について、具体的にご紹介しましょう。お楽しみに!(12月3日(月)更新予定)

サンプルまんが作成 (C)十神 真
[実践:めざせ!受賞編第20回]
仕上げ(3)
 今回は、線のはみ出しや失敗を修正するテクニックについてお話しします。どんなプロ作家さんも修正なしにまんが原稿を仕上げるのは不可能です。修正の段階では修正液(ホワイト)を使いますが、雑誌に掲載されたまんががきれいに見えるのも、この修正の技術、修正液の使い方が上手だからなのです。

●大切なのは修正液選び

修正液  修正をきれいに仕上げるコツは、まずどの修正液(ホワイト)を選ぶかにあります。右に一般的な修正液を挙げておきます。左は水で薄めて、筆で塗るタイプ。乾くと耐水性になります。右は油性の速乾タイプで、ふたについている刷毛で塗るものです。他にも製品はありますが、大事なことはあなたの使っている黒インクをきれいに消せるか、ということです。


 実は黒インクと修正液には相性があります。描いた線の上から修正液を塗ると、イラストのように下の線からインクが浮き出てきたり、溶け出してにじんだりすることがあるのです。最近はこの相性問題は減っているようですが、こればかりは実際に試してみるしかありません。しっかりと乾かしたペン画線の上に使いたい修正液を塗って様子をみます。
 もし、下の線がきれいに消えたまま修正液が乾くならば、大丈夫です。にじんだりするようなら、修正液のメーカーを変えてみたり、水性から油性のものにしてみてください。なお修正液は、必ず黒インクをしっかり乾かしてから、塗ってください。生乾きのインクに修正液を塗ると、相性問題以前に必ずにじんでしまいます。

●厚塗りにならないように気をつけよう

 また、修正液を上手く使うには厚塗りをしないことが大切です。しっかり消すために何度も何度も塗り重ねてしまうことがよくありますが、消した後、さらにペンを入れる場合、ペンが厚塗りした修正液に引っかかって、ガリガリの線になってしまいます。
(右のイラストではわかりやすくするために、修正液を厚塗りしたところを薄い緑色にしてあります)

 修正液は使っているうちに水分や溶剤が飛んで、濃くドロッとしてきます。これも厚塗りの原因になります。水や専用の溶剤で薄めて、塗りやすく、下の線がきれいに消える濃度に調整してみてください。なお厚塗りしてしまった場合は、ペン先の鋭くないカブラペンを使うと引っかかりにくいので、右のイラストのようにスムーズに描けます。タッチは若干変わってしまいますが、小さな修正なら問題ありません。

●修正の手順はどうやるの?

 では具体的に修正の手順をみてみましょう。


 人物の顔を描いてみましたが、どうもほほからあごへの輪郭を大きく描いてしまったようです。これではバランスが悪いので、点線のように輪郭線を修正します。

 失敗線を修正液で消します。厚塗りにならないように気をつけます。

 修正液がしっかり乾いてから、上からペンで新たに輪郭線を描いて完了です。通常はこの手順で修正しますが、別のやり方もあります。修正液を塗る前に修正線を描いてしまう方法です。

 失敗線を気にせず、修正線を描き入れてしまいます。その後、失敗線のみ修正液で消すのです。修正液の上からペンで線を引くと描き味が変わってしまうので、この方法のほうがきれいな線が描ける、という作家さんもいます。ただし修正は新しく描いた線まで消えないように慎重にする必要があります。どちらがいいかは一概にはいえませんが、直す箇所が複雑で、線が込み入っているなら、先に修正液を。直しが単純なら、先に線を描き入れた方がいいかもしれません。
 次回は修正の続きになります。修正液で効果を出す方法や、コマをそっくり別の絵に差し替える荒技(?)などについて紹介します。お楽しみに!(11月19日(月)更新予定)

サンプルまんが作成 (C)十神 真
[実践:めざせ!受賞編第19回]
仕上げ(2)
 今回から仕上げの段階で役に立つテクニックを紹介していきましょう。まずは「ベタ塗り」です。

●失敗しないベタの塗り方

 ベタ塗りで難しいのは、髪の毛など込み入った部分を塗る場合です。まず使うのは筆ペン。筆ペンも細字~太字までいくつかの種類がありますが、なるべく細いものを使うほうがいいようです。
 サンプルで説明しましょう。髪の毛やセーラー服の襟の部分をベタで塗ります。筆ペンで毛先などや輪郭をふちどるように塗ります。特に毛先を塗るときは、筆が上から下にスッと入れられるように、毛先の先端が上になるように原稿を回して塗っていきます。
 なお筆ペンがうまく扱えないようなら、0.3mmのサインペンを使ってもいいでしょう。ただ筆ペンは後で紹介するような効果も出せるので、できれば習熟しておきたいところです。
 込み入った部分の輪郭が塗り終わったら、残りの部分を塗りつぶします。ここでは繊細な作業は必要ありませんから、一気に大面積を塗れるものがいいでしょう。太めのマーカーペンが重宝します。

●本当にそこはベタでいいのか、もう一度考えてみよう

 新コミ応募原稿でよくあるのが、大きなコマのバックをベタのみで塗りつぶしたり、人物のアップのコマで髪の毛をベタで塗りつぶしたりしている例です。右のイラストを見てください。当たり前ですが、ベタを塗ると真っ黒になります。大面積をベタ塗りすると、重く、単調な表現になってしまうのです。

 こんな場合はベタに表情を与えてあげるといいでしょう。下のイラストは髪の毛をベタだけでなく、筆ペンを使って白地を残すように塗り、流れるように表現したものです。艶やかで立体感のある髪の毛に見えますね。またカケアミを使って、白地→カケアミ薄→カケアミ濃→ベタのグラデーションにするほうがいいこともあります。暗闇でランプが灯っているシーンなどには効果的です。
 ベタを塗る面積が小さければ、あまり気にする必要はありませんが、大きくベタ塗りする場合は、「本当にそこはベタだけでいいのか、他の表現やプラスアルファの表現をしたほうがいいのではないか」を考えてみてください。

 次回は修正です。線のはみ出しや作画の失敗のリカバリーについて詳しく紹介したいと思います。お楽しみに!(11月5日(月)更新予定)

サンプルまんが作成 (C)十神 真
[実践:めざせ!受賞編第18回]
仕上げ(1)
 今回から『仕上げ』についてお話ししましょう。ペン入れ後の原稿にベタを塗り、トーンを貼り、修正を入れて完成原稿にする過程です。

●『仕上げ』の流れ

 まずはどの順番で仕上げをしてゆくのか、サンプルを例に一般的な流れをご紹介しましょう。なお作家さんによって順番は前後する場合もあります。

[1]消しゴムをかけ、ペン入れした原稿を見返そう

 上のイラストはペン入れが終わった段階の原稿です。仕上げの前に鉛筆線をすべて消すために、まず消しゴムをかけていきます。このときフキダシの中に鉛筆で書いたセリフはあえて残します。消しゴムをかけ終わったら、全ページ読み返してください。
消しゴムのかけ忘れはないか?
はみ出した線などはないか?
ペンを入れ忘れているところはないか?
ベタを塗るところ、トーンを貼るところはどこか?

などをチェックします。
 さらに、作家さんによっては、
修正すべき箇所やトーンを貼るところを水色の色鉛筆で印をつける
ベタを塗るところはペンで×印をつける

などをしておくこともあります。これは仕上げをするアシスタントさんにわかりやすいように指定をするという意味なのですが、一人で描く場合も修正もれを防ぐ効果があります。

[2]ベタを塗る

 背景や髪の毛などにベタ(黒)を塗っていきます。太いサインペンや筆ペンを使い、塗り忘れがないように、チェックしながら進めてください。なおここでベタがはみ出した場合は、きちんと乾かして修正液などで修正します。

[3]はみ出した線や失敗したペン画を修正する

 次は修正になります。[1]でチェックしたところを修正液や修正用の白インクなどで消したり、あらたにペンで描き加えたりしてゆきます。この段階でペン画として完成させておくわけです。

[4]トーン貼り・最終修正

 原稿にトーンを貼っていきます。もし鉛筆の消し忘れなどをそのままにしてトーンを貼ってしまうと、修正が大変なので、事前のチェックは念入りにしましょう。トーンを削ったりするのもこのとき行います。
 またベタやトーンを入れたあとに、再び修正することもよくあります。たとえば描き文字を白くフチどったり、トーンにホワイトを入れたりします。また消しゴムをかけた段階で、もしフキダシの中のセリフが消えてしまった場合は、鉛筆で書き加えます。背景に文字をのせるためのトレーシングペーパーを使った指定なども完了させておきます。
 最後にもう一度全ページを読み返して、修正もれなどがないかどうか確認します。
 きれいでていねいに仕上げられた原稿は、新コミの審査でも好印象となるはずです。またプロの作家さんのアシスタントになると、まずはこの仕上げ段階をまかされることが多いようですね。

 次回は仕上げのそれぞれの段階でのテクニックを詳しく解説していきたいと思います。お楽しみに!(10月15日(月)更新予定)

サンプルまんが作成 (C)十神 真
[実践:めざせ!受賞編第17回]
ペン入れ(3)
 今まで紹介しきれなかったペン入れ関係のエトセトラです。サインペンの使い方とペン入れ時の注意点などについて、お話ししましょう。

●サインペンは使えるか?

 Q&Aのコーナーによく寄せられる質問に「描きなれているサインペンでまんがを描きたい」というのがあります。確かにインクをつけて描く「つけペン」に比べれば、はるかに楽ですし、しっかりと乾かせば、かすれたりもしませんから手軽でしょう。しかしプロの作家さんはサインペンを使って主線などを描いたりはしません。理由は下のイラストを見てください。
 左のコマは前回ご紹介したサンプル原稿の1コマ目です。右は同じコマを0.3mmのサインペンで描いたものです。左のつけペンで描いたものと比べ、右のコマは校舎や体育館などの背景に立体感がなく、平板に見えてしまいます。均一な太さの線しか描けないので、線の強弱やタッチがつけづらいのです。筆圧を強くすればある程度の強弱は出せますが、すぐにペンがダメになってしまいます。

 では、サインペンはまったく使えないのでしょうか? 均一な線を引ける利点を活かして0.8mmのサインペンなどをワク線を引くのに使う作家さんはたくさんいます。また使いどころを考えれば、いろいろ活躍できそうです。上の例でも植え込みのところなどはサインペンでも違和感はありません。ほかにも例をあげてみましょう。

 太めのサインペンを使って、描き文字を描いた例です。このように均一な線で描いたほうがいい場合は積極的に使っていいと思います。





 このコマは演出効果の一つとして、わざと平板にバックの人間を描いた例です。「会社という組織の中に主人公も埋もれそうになる。自我を捨て、一つの歯車として無機的に生きる…」というような演出をしたいときなど、均一な線でわざと無機的な感じを出すのに使えます。

 またペン入れ時ではありませんが、仕上げのときにベタを塗りつぶすのに太いサインペンは重宝します。サインペンは主役にはなれませんが、いないと困る名脇役といったところでしょうか。

●原稿を汚さないために

 ペン入れの際、半乾きのインクをこすってしまったり、手の汗をつけてしまって、原稿を汚してしまうことがよくあります。汚れた箇所はあとで修正すればよいのですが、余計な手間をかけないためにも、汚さないに越したことはありません。プロの作家さんはどうしているのでしょう。  ペン入れするときはペンを持つ手の下に、ティッシュや紙をはさむのも一つの方法です。また指の部分を切ってペンを持ちやすくした薄手の手袋をする作家もいます。

 さらに慎重な作家さんは服の袖を気にして、事務用の黒い袖ガードを腕につけている方もいます。これは原稿が汚れることより、服の袖にインクのしみがつくのを避けているのでしょう。ただ作画中は手だけでなく腕が原稿に触れることも多いので、汚れてもいい長袖のシャツを着て作画することをおすすめします。

 もうひとつ。ペン入れの順番を工夫して、汚れにくくしている作家さんもいます。1枚の原稿を左上から右下へと描いていけば、作画済みの絵をこすったりはしにくくなります。下のイラストで(1)→(5)の順番にコマにペンを入れていくわけです。ただ、この方法は1コマごとにペンを取り替えながら作画しなくてはならないので効率的とはいえません。前回紹介したように主線→フキダシ→背景のように描くほうがいいと思います。
 原稿を汚さないポイントはインクをしっかりと乾かしてから次のペン入れに移ることです。もしインクの乾きが遅く、気になるようでしたら、ヘアドライヤーで強制乾燥してみてください。ただし温風をあてすぎると、原稿用紙がまるまってしまったりしますので、ほどほどに。

 あなたがプロのまんが家になったら「きれいな原稿を、早く描く」ことを求められます。限られた時間の中で相当枚数の原稿をこなすには、なるべく修正の手間を減らし、スピーディーに描き上げなくてはなりません。しかし新人コミック大賞に応募し、入選するのが目標なら時間はたっぷりあります。今はゆっくりでかまいませんから、ていねいに描いてください。

 次回からは仕上げに入ります。ホワイトの使い方、失敗のリカバリーの仕方などについて紹介します。お楽しみに!(10月1日(月)更新予定)

サンプルまんが作成 (C)十神 真
[実践:めざせ!受賞編第16回]
ペン入れ(2)
 今回はペン入れの順番について紹介しましょう。必ずこの手順のとおりにしないといけないわけではありませんが、プロの多くの方は基本的にこの順番でペン入れしていきます。

●この順番でペンを入れよう

[1]下描きの終わった原稿

 前回でもサンプルとしてとりあげた原稿です。これがどのようにペン入れされていくのか紹介します。

[2]まずはワク線を引く

 最初に0.8mmのサインペンなどですべてのワク線を引いてしまいます。一番最初にワク線を引くのは、絵をどこまで描くかの基準を決めるためです。ワク線を後回しにしてしまうと、あとでワク線から絵がはみ出すことが多く、修正が大変です。なお、ワク線を引くときには、すべてのコマの横線だけまとめて引いてから、次に縦線を引いてゆくという手順になります。

[3]人物の主線を入れる

 次にGペンなどで各コマの人物だけを描きます。このとき、人物でも背景のような扱いになるシーンではここではペン入れをせずに、後の背景を描くときに入れることもあります。

[4]フキダシを描く

 セリフの入るフキダシを入れます。なお描き文字はこの段階で入れましたが、人物にかかる場合は 主線を入れる前に入れることもありますし、背景の後に入れることもあります。

[5]背景などを入れる

 最後に背景や効果線などを入れます。これでペン入れは完了です。
 ペン入れ順番の鉄則は、
『手前にあるものから描いてゆく』
そして
『同じ種類のペンで描けるものは一気に描く』
です。
 どちらも修正の手間をより少なくして効率的に描くためです。プロの作家さんは多くのアシスタントさんと作画しますから、分業が徹底していて、ここで紹介したような手順を流れ作業的にやっていく場合が多いようですね。ただし、皆さん独自にこのほうが描きやすいという手順があるならば、それを優先させてもいいと思います。

 次回もペン入れの続きになります。サインペンや筆ペンなど便利な道具の使い方などについて紹介する予定です。お楽しみに!(9月18日(火)更新予定)

サンプルまんが作成 (C)十神 真
[実践:めざせ!受賞編第15回]
ペン入れ(1)
 今回から『ペン入れ』についてお話ししていきましょう。まんがを描き始めたばかりの人にとって最初のハードルがこのペン入れです。シャープペンや鉛筆なら自在な線が描けるのに、ペンだとうまく描けないという人が多いのです。インクをつけて描くということ自体、日常ではほとんどないことですから、仕方ありません。これはもう慣れるしかないのです。

●ペン入れに使うペン先

 まずはペン入れのサンプルを見てみましょう。下の原稿は、前回までの下描きにペン入れしたものです。ペン入れでこのくらいまで描き込みます。
 この原稿はワク線以外はすべてペンで描かれています。ここで、まんがを描くときに使うペンについて紹介しましょう。なお、ペンの使い方などはバックナンバーも参考にしてください。
 それぞれのペンで『入り』『抜き』をした例も紹介しましょう。『入り』とは線の描き始め、『抜き』とは線の描き終わりの表現のことです。サンプルのまんが原稿で右下のコマで使われているベタフラッシュの表現などに使います。

●ペン先は使い分けるのか?

 ここで紹介したペン先すべてを使い分けながら、描く作家さんもいれば、Gペンと丸ペンしか使わない人、Gペンしか使わない人…様々です。少女まんがでは、丸ペンしか使わない作家さんも多いようです。
 慣れればGペンで細い線を描くこともできますし、丸ペンで太めの線を描くこともできます。1種類のペン先ですべてをこなせれば楽ですし、ペンにも早く慣れます。ただしそれぞれのペン先本来の線とは違う線を描くわけですから、ペン先がすぐにダメになってしまいます。おろしたてのGペンならば細い線が描けますが、使っているうちに太い線しか描けなくなります。丸ペンで筆圧をかけて太い線を描いていると、ペン先が開いてしまい、細い線が描けなくなります。作家さんによってはそういったペン先を太い線専用にしている例もありますが、ペン先の消耗は早くなりますので、こまめに新品と取り替えながら描くことになります。

●まず一つのペン先にしぼって練習しよう

 現在、第一線で活躍している作家さんも、最初から思い通りの線が描けていたわけではありません。今、自在な線が描けるのは、経験と練習のたまものなのです。『ペンは描いた線の数だけ上達する』とよくいわれますが、ある作家さんのところでは、アシスタントに入ると、最初は右のようなカケアミの練習を毎日させられるそうです。原稿用紙がカケアミで埋め尽くされるくらいまで描くのですが、1か月もたつと自在にそのペンが扱えるようになっているそうです。

 カケアミばかりですと単調ですから、曲線やタッチをつけた線なども交えて練習したらいいと思います。特に『入り』と『抜き』は大切なテクニックですから、思いどおりの入り抜きができるようにしましょう。なお、最初から何種類ものペン先を使いこなすのは難しいと思います。もしあなたが男性向けのまんがを目指すのであれば、Gペンを、少女・女性向けのまんがを描くのであれば、丸ペンをまず徹底的に練習したほうがいいでしょう。

 次回はペン入れの続きです。サンプルをもとに具体的なペンの入れ方などをご紹介したいと思います。お楽しみに!(9月3日(月)更新予定)
サンプルまんが作成 (C)十神 真
[実践:めざせ!受賞編第14回]
下描きを描く
 絵コンテを見ながら、まんが原稿用紙にペン入れのガイドとなる線を鉛筆で入れてゆく、それが『下描き』です。下描きの鉄則は「ペン入れの時は助けになり、ペン入れが終わったら、跡形もなく消える」ことです。またこれ以降、絵の大幅な変更もできませんから、ペン入れ前の最終チェックとしても大切な作業です。なお下描きの基本についてはバックナンバーの初級編第2回『1ページのまんがが描き上がるまで』もあわせてご覧ください。

●下描きはどこまで描けばいいのか?

 みなさんからよく聞かれる質問です。実はプロの作家さんでも千差万別で、背景も含め、かなり細かく鉛筆を入れる人もいれば、絵コンテと同じくらいの絵しか描かない人もいます。ただまんがを描き始めたばかりの人でしたら、人物を中心になるべく細かく描いてあげた方がペン入れの失敗は減ると思います。前回の絵コンテを下描きした場合のサンプルを紹介します。このくらい線が入っているとペン入れもスムーズに行くと思います。

●下描きでは消しゴムは使わない

 ペン入れがしやすいように、なるべくきちんと描こうとするのはわかりますが、消しゴムで線を消しては描き、消しては描きはやめたほうがいいでしょう。原稿用紙に何度も消しゴムをかけると、紙の表面が荒れたり、けば立ってしまい、次のペン入れの時にインクがにじむことがあります。失敗した線はそのままにして、新たに線を描き足すようにしてください。消しゴムはペン入れが終わってからまとめて入れます。

●消しゴムで消えやすい線を描く

「ペン入れが終わったら、跡形もなく消える」ためには、硬く線の鋭い鉛筆は使わず、HB~2Bくらいの柔らかめの鉛筆で、薄く描いたほうがいいでしょう。下のイラストをみてください。左は適正な例ですが、右のように、太くゴチャゴチャと線が入ると消しゴムをかけるときに苦労します。なにより、これではどこにペンを入れていいのかわかりませんね。
 また鉛筆の線は、手についた汗でも簡単にかすれ、原稿用紙にしみてしまいます。特に太く濃い線の場合は、下の右イラストのようになってしまいます。こうなると消しゴムでも完全には消えません。これを防ぐために、手と原稿用紙の間にティッシュなどをはさんで描いてください。

●下描きが終わったら全ページ通して見直してみる

 全ページ下描きが終わったら、通して読んで、もう一度作品全体を見直してみましょう。絵や構図などにおかしなコマはないでしょうか? たとえばヘアバンドをしているはずのヒロインが、あるコマだけしていなかったり、学生服が突然私服になったり、意外とミスが見つかるものです。後々の修正の手間を減らすためにも、しっかりチェックしましょう。

 次回からは『ペン入れ』についてお話しします。ペン入れのコツやペンの効果的な使い方などをご紹介する予定です。お楽しみに!(8月20日(月)更新予定)

サンプルまんが作成 (C)十神 真
[実践:めざせ!受賞編第13回]
絵コンテ(ネーム)を描く
 以前の『ストーリーの作り方9』でも紹介しましたが、ストーリー構成が終わったら、絵コンテ(ネームと呼ぶこともあります)を作ります。構想の段階から、より具体的な表現へと進み、コマを割り、絵やセリフを入れた絵コンテで最終的なまんがの吟味をするわけです。この絵コンテが完成すれば、これ以降、大きな直しは基本的にはしません(絵の調整やセリフの変更などは原稿にペンを入れる段階でもあります)。絵コンテがまんが作りの最終的な、そしてこれから始まる作画の設計図となるのです。

●絵コンテの描き方

 絵コンテの基本は
[1]だいたいのコマ割りをすること
[2]フキダシ、セリフはしっかり入れること
[3]キャラクターの絵や背景はていねいに描く必要はない
(ただし絵の構図はわかるように)
[4]必ずページ数を入れる

といったところでしょうか。  プロのまんが家になって、編集者に絵コンテを見てもらう場合は、絵や背景を下書きに近いくらいまでに入れることもありますが、他人に見せるのでなければ、簡単な絵でもOKです。下に絵コンテの実例を紹介しましょう。
 このくらいの絵が入っていれば、まんがとしても読めますね。最初は練習にもなりますので、なるべく絵を描き入れるようにしてみましょう。
 なお絵コンテを描く紙ですが、専用の絵コンテ用紙をもっている作家さんもいれば、市販のノートに描く人、コピー用紙を使う人など様々です。描き方も含めて、要は本人にとって、描きやすく見やすいものであればなんでもいいのですが、まだ絵コンテになれていない場合は、実際のまんが雑誌と同じB5版のノートや紙に描くことをおすすめします。「このくらいのサイズのコマは、実際にはどう見えるか」判断しやすいからです。

●絵コンテは描き直すもの

 冒頭で「絵コンテはまんがの設計図」と紹介しましたが、設計図ならば、なるべく仕上がりに近いものを作ったほうが後の作画もスムーズです。プロの作家さんも完成度を高めるために、絵コンテを何度も描き直します。大きく構成からやり直すこともあれば、ページを入れ替えたり、1ページまるまる描き直したりも当たり前です。
 描き直すことが前提の絵コンテですから、下に紹介したような、バインダーやルーズリーフ、クリアブックなどを使うと効率的です。ページの入れ替えも楽ですし、描き足しや直しも新しい紙を追加すればいいのです。
 次回からは実際の作画に入っていきます。まずは下描きです。下描きを描くときのテクニックやコツをご紹介しましょう!(8月6日(月)更新予定)
サンプルまんが作成 (C)十神 真
[実践:めざせ!受賞編第12回]
コマ割りと構図(2)
 今回はタチキリや変形ゴマの使い方についてお話ししたいと思います。コマの基本はワク線で四角く囲んだものですが、もっと迫力を出したい、もっと印象的にしたいなどの場合、変形ゴマなどを使うことがあります。多用すると読みづらくなってしまいますが、ここぞというシーンで使うととても効果的です。

●絵が広く描けるタチキリ

 まんが雑誌を読んでいると、紙いっぱいに描かれたコマをよく見かけます。タチキリ(裁ち切り)というコマです。原稿用紙の版面(内側の青色の線)からはみ出して描きますが、広くコマがとれるので、背景をきちんと描き込んだり、キャラも大きく描くことができます。変形コマの一種ですが、多用してもさほど読みづらくならないため、最近はほぼ全ページをタチキリで描くまんが家さんもいるようです。例をあげてみましょう。
 各1コマ目を変えてみました。[1]は通常のコマ、[2]がタチキリのコマです。全体のコマの配置を変えずに、[2]は背景や人物が大きくできます。新キャラの登場シーンなどでは効果的ですね。[3]はさらにワク線をなくしてみました。絵がさらに広々としますが、これは多用せず、アクセント的に使ったほうがいいと思います。
 なお、右のイラストのように、雑誌のノド側(雑誌を綴じている部分)に向けたタチキリもありますが、ノド側は読みにくいので使わない方がいいでしょう。また、タチキリを使う場合はフキダシのセリフ位置にも注意してください。外側にセリフを入れると、切れて読みにくくなったりします。セリフはなるべく版面内に収めてください。


●ここぞというときの見開きカット

 クライマックスなどで、さらに大きく絵を入れたい場合は、右ページ・左ページ両方を使った見開きカットが効果的です。2ページをすべて1カットに使う場合だけではなく、下のサンプルのように上段のコマだけを見開きにすることもあります。
 見開きカットを描く場合の原稿用紙の使い方は通常と少々異なります。下に手順を解説しましたので参考にしてください。

[1] 2枚の原稿用紙の左側・右側を版面の青い基準線から15mmの位置で切ります。
[2] 2枚をくっつけて裏からセロハンテープなどで固定します。
[3] このような1枚の原稿用紙にして使います。この原稿用紙いっぱいに描くわけです。

 タチキリでもお話ししましたが、中心のノド部分は読みにくいのでノドに絵の大切なところがきたり、セリフが入ったりしないよう気をつけてください。なお応募する場合は、テープで固定した中心部分で折り曲げて封筒に入れればOKです。

●変形ゴマで画面に変化を

 通常の四角いコマではなく、斜めや台形にコマをとって表現することもあります。構図との関係で、斜め上からの見下ろすようなアングルなので台形にコマをとりたい、スピードや動きの方向を出したいので斜めにコマをとりたい、などの場合です。変形ゴマは、いいアクセントになりますし、画面に華やかな感じを出したりできるので重宝します。
 下のサンプルでは、同じシーンを、[1]が通常の四角いコマ、[2]が斜めの変形ゴマで表現してみました。サンプルのような動きのあるコマでは、[2]のほうが迫力がありますね。
 もちろん変形ゴマにしても、あまり効果がないこともありますし、多用すると読みづらくなってしまう場合もあります。使いどころと効果を考えて選択しましょう。

 次回はネーム(絵コンテ)の作り方についてです。まんがを描く上で最終的な設計図になるのが絵コンテです。この絵コンテをもとに内容の吟味をしますから、まんが作りで一番大切といってもいいかもしれません。お楽しみに!(7月17日(火)更新予定)
[実践:めざせ!受賞編第11回]
コマ割りと構図(1)
 まんが創りの順番では、ストーリーの次は絵コンテ(ネーム)となるのですが、その前にコマ割り構図についてお話しします。1ページをどのようにコマ割りするか、そのコマにどんな構図の絵を描くのかをおおまかにでも決めないと、絵コンテが描けないからです。なお、コマ割りの基本ルールについては、バックナンバーの初級編第8回『読みやすいコマ割り』を見てください。

●コマはそのひとつひとつに意図がある

 初級編ではコマ割りについてのみ解説しましたが、実はコマ割りと構図についてはセットで考えたほうがスムーズです。ここであらためて、それぞれの言葉について説明すると、

コマ割り…ワク線で区切られた絵(コマ)をページの中で、どんな大きさ・形でどの順番で配置するか、考えること
構図…ひとつのコマの中で描かれる絵(背景や人物、効果など)をどのように表現するか、視点や物体の大きさなどから考えること


 となります。たとえば、主人公とライバルが海にいて、対決しようとしていることをきちんと伝えたいから、背景には砂浜があって、斜め上から見下ろしたような絵に2人を配置する構図にして、大きなコマに。次のコマは主人公の決意にみちた顔のアップを入れよう、大きさは… というようにコマ割りをしていきます。大切なのは、そのコマで何を表現したいかです。それによって構図もコマの大きさ・形なども決まるのです。
 ではサンプルまんがを使って具体的に解説してみましょう。
 学園ラブコメまんがのシーンです。設定は『クラスにかっこいい転校生がやってくる。ヒロインはすごく内気な女の子。その出会い』です。

コマ1 転校生登場
 新しいキャラが登場してきたときは、まずはそのキャラの外見(ビジュアル)をしっかり読者に覚えてもらうことが大切です。身長は高いのか低いのか? 体型は細身・太め? 顔は? 髪型は? などなど。サンプルでは2段分とタチキリをつかってタテ長のコマを大きくとり、なるべく体型がわかるように、また横の先生との対比で背が高くみえるように構図をとっています。

コマ2 クラスメートたちの反応
 転校生の登場を受けて、クラスメートたちはこのキャラをどう思ったのか、その反応です。特に大きくする必要はないコマですが、このコマがあることで『女の子にモテそう…』と印象づけることができます。

コマ3 転校生の顔アップ
 コマ1と対になるコマです。新キャラ登場時の鉄則は、大きめで全身が入るカットと顔がしっかり見える顔アップのカットをセットで入れることです。

コマ4 クラスメートの反応2
 コマ3のしぐさを受けたクラスメートの反応その2です。コマ2と同様のコマですが、さらに反応をエスカレートさせます。このとき、さりげなくヒロインをコマ内に入れ、他の女子との反応の違いを出しておきます。なお、ヒロインの登場はこのページよりずっと前にあったと考えてください。

コマ5 ヒロインの反応
 その他大勢の女子ではなく、ヒロインがこの転校生のことをどう思ったのかをしっかりと印象づけなければいけません。騒いでるまわりをよそに、静かに顔を赤らめることでヒロインの内気な性格と『やはりこの転校生に興味を持ったこと』を顔のアップで表現します。

コマ6 先生の反応
 設定上、先生のキャラがさほど重要でないなら、特に先生の反応は入れずにここは流します。なお流れとしては、このコマの後に転校生がヒロインの席の後ろに歩いていき、席につくことになりますが、そのシーンに何かイベントを入れるのでなければ、必要ないと思います。先生の言葉で後ろの席につくことはわかっているからです。またコマ7ですでに席についていることで時間経過も表現できます。

コマ7 後ろの席の転校生を意識するヒロイン
 後ろの席にきた転校生、意識するヒロイン。前後に座る二人の位置をしっかり見せるため、斜め上からのアングルで、ここもタテ長のコマをとり、版面上のタチキリまで描きます。

コマ8 転校生、声をかける
 後ろから突然声をかけられるヒロインがすごく驚くシーンです。このコマでいきなり叫び声を入れても表現としては成り立つのですが、叫び声の印象がものすごく強いので、転校生が何をしたのかが薄くなってわかりにくくなってしまいます。場合によっては『転校生がなにかHなことをしでかしたのかも…』と意図せぬマイナスなイメージを植え付けかねません。そこで、しっかりと転校生の行動を入れ、ヒロインの刹那の反応にとどめています。

コマ9 ヒロイン、すごく驚く!
 過剰なまでのヒロインの反応を、叫び声のフキダシを大きく、しかもコマ左右いっぱいまでとることで、教室に響き渡るヒロインの叫び声をイメージします。声の大きさとコマの大きさは比例させてあげたほうが印象的になります。なおシーンとしては、ヒロインが叫び声をあげている絵にすることもありでしょうが、ヒロインの正面顔の絵が続いてしまうこと、また叫び声に対する先生およびクラスメートたちの反応の方が絵としておもしろそうなのでこの絵にしました。

コマ10 叫び声へのまわりの反応
 叫び声を発した後のまわりの反応です。立ち上がっているヒロイン、驚いている転校生やクラスメートたちをロングで見せます。叫び声というイベントがあった後にこのコマで落ち着かせます。と同時に、ヒロインの状態を見せることで、転校生がとった行動へのヒロインの感情も提示しておきます。もしこの絵が、ヒロインが後ろの転校生を向いて怒っているような絵でしたら、ヒロインは転校生へのあからさまな嫌悪感を示しているのでしょうし、座って泣いているような絵でも、転校生への嫌悪感につながります。なるべく嫌悪感が生じないように、条件反射的に叫び声をあげた、と思ってもらえるような絵が好ましいので、このような絵にしました(もちろん別な表現もあるかもしれません…)。

コマ11 先生の反応
 お約束です。いったい何があったのかを先生がきいています。流れで必要ではありますが、ここでは重要なコマではありません。

コマ12 転校生の反応
 先生からの問いかけはヒロインに向けられたものと思われます。しかし、ここでヒロインよりも転校生が先に答え、原因を作ったのが自分であること(彼女のせいではないこと)を明確に語ることで、転校生の潔い部分が表現されます。

 いかがですか? ある限定されたシーンですが、構図やコマの割り方をなんとなくわかってもらえたのではないでしょうか。コマのひとつひとつには意図があり、その意図によって絵の内容や大きさ、順番が決まっていくのです。また同じ内容のストーリーでも、人によって表現手段が違うように、コマ割りや構図にも個性が出ます。ここに挙げたサンプルまんがも、描く作家さんによって十人十色で違ったものになるでしょう。『読者が読みやすいように』という基本を守ってさえいれば、こうしないといけないということはないのです。

 次回はコマ割りと構図の第2回です。変形コマやタチキリ、見開きカットなどについて詳しく紹介しましょう。お楽しみに!(7月2日(月)更新予定)
サンプルまんが作成 (C)十神 真
[初級編第14回]
トーンを使おう(2)
 トーンの続きです。前回の後、皆さんから「トーンの削りがうまくいかない」「もっと詳しく教えて欲しい」というご意見を多数いただきました。というわけで、今回は『トーンの削り』について掘り下げてみたいと思います。

●1)削りができれば、こんな効果も

 トーンを削れれば、表現の幅はぐっと広がります。下のサンプルイラストを見てください。左はリアルな立体感の表現です。影と光の境界部分を削ってあげることで、グラデーションのような効果を出すことができます。この技はメカや背景などをリアルに見せる場合に重宝します。
 右は煙などの表現に使った例です。湯煙・雲・霧などの自然現象を表現する場合にも削り技は欠かせません。

●2)削るときはカッターの刃を寝かせた方向に動かそう

 カッターの刃は少し寝かせて使った方が動かしやすいようです。イラストのように刃を寝かせた方向に動かします。これで削れるのか疑問に思う人もいるかもしれませんが、大丈夫です。逆に刃を向けた方向に削ろうとしてもひっかかってうまく削れません。またカッターを扱う作業ですので、ケガをしないよう十分注意してください。

●3)削りの角度は22.5度で

 これはアミ点のトーンを削る場合の注意点です。イラストを見てください。アミ点のトーンを拡大したものです。点のならびが角度にして、0度・45度・90度…となるようにならんでいます。
 もしこの45度ずつのならびにそって削ってしまうと、右のイラストのように、アミ点がごっそりと削れてしまい、きれいなグラデーションにはなりません。
 そこで、削る方向を45度の半分、22.5度にします。もちろん厳密に22.5度で削るのは不可能ですから、だいたいでも大丈夫です。『直角を4分割した角度』とおおまかに目安をつけて削ってみてください。

 これを1方向だけではなく、下図のように多方向から削ってあげると、きれいにいきます。
 いかがでしたか? ちょっと初級編からは逸脱してしまったかもしれませんが、トーンを使いこなすには『削り』は必須です。トーンを数枚ムダにする気持ちで練習してみましょう。次回は、新人コミック大賞に応募するときの注意点についてまとめてみたいと思います。お楽しみに!(12月18日(月)更新予定)
[初級編第13回]
トーンを使おう(1)
 濃淡の表現や立体感の表現に欠かせないのがトーン処理です。手軽にきれいな表現ができますが、多用すると画一的な画面になってしまうこともあります。アミ点のトーン以外は手描きでも表現できるものがほとんどなので、ペンの練習もかねて、なるべく自分で描くようにしましょう。特に、まんがを描き始めたばかりの方は、トーン処理よりも、まずペンになれることをおすすめします。ペンを自在に扱えるようになってからトーンを使うようにしても遅くはありませんから。

●1)こんなときにトーンを使おう

 濃淡を表現する場合、アミ(網)という点の大小粗密で作られたトーンを使います。下の女の子のイラストは、さまざまなアミ点のトーンを貼っています。
 また建物や人物の陰にもアミ点のトーンを使うと、画面に立体感が生まれます。サンプルでは61番のアミ点トーンを使用しています。
 背景の処理にもトーンが使えます。イラストをみてください。どれも手描きでは難しいものですが、いくつかのアミ点トーンを組み合わせたり、『削り』というちょっとした加工をしてあげることでリアルで効果的な背景に仕上げることができます。

●2)トーンの種類と道具

 もともとトーンはまんが専用というわけではなく、デザイン画で濃淡や柄を表現するための画材でした。レトラセット社の『スクリーントーン』が元祖といわれています。昔は高価で、種類もアミ点のトーンなど限られたものでしたが、現在では各社からさまざまな柄のものが発売されています。価格も1枚500円前後です。
 プロの作家さんがよく使うものとして61番のアミ点トーンがあります。レトラセットのNo.61が定番ですが、他社からも発売されています。ただ同じ61番でもメーカーによって若干濃淡に差があるようです。

 積極的におすすめはしませんが、アミ点トーンの他にも下のような、カケアミ、背景などの柄のトーンもあります。
 なおトーンを切り出すにはカッターナイフが必要です。普通のカッターナイフでも大丈夫ですが、できれば写真のようなデザインナイフ(オルファ製500円前後)があると、細かな切り出しができて重宝します。

●3)トーンの使い方

 トーンは裏に弱い糊のついたフィルムです。カッターナイフで切って、原稿に貼り付けますが、うまく使うにはちょっとしたコツが必要ですので、紹介しましょう。

(1)

サンプルで女の子の髪の毛にトーンを貼ってみます。

(2)

原稿にトーンをあてて、おおまかにカッターで切り出します。

(3)

切り出したトーンをカッターの柄の部分で軽くこすり、仮固定します。なお、アミ点のならびを45度の角度になるようにするときれいに見えます。

(4)

髪の毛の輪郭に沿ってトーンを切ってゆきます。あまり強く切ると下の原稿まで切れてしまうので軽く刃をすべらせる感じで切ります。
 なお、あまり細かな部分をカッターだけで切り出そうとしても、うまく切り出せません。特に髪の毛などはそうです。そこで便利な技を一つ紹介します。
トーンの不必要な部分を切るのではなく、削ってしまうのです。カッターの刃を立てて、軽くこするようにアミ点を削りとっていきます。

(5)

このほうが細かな部分の処理もラクです。
イラストはだいたい削り終わったところです。

(6)

おおまかに不必要な部分を切り出して、はがします。

(7)

最後にトーンの台紙を原稿の上にのせ、カッターの柄やへらなどで強めにこすり、トーンを定着させます。この作業があまいとトーンがはがれてしまいます。

(8)

完成です。通常の切り出しに比べ、削り技を使えば倍くらい早くなります。ただ、トーンをうまく削るには練習が必要ですので、1枚トーンをダメにするくらいの気持ちで削ってみましょう。

 トーンの削り技は習得すると、いろいろなシーンで役に立ちます。次回はこのトーンの削りや応用技について、もう少しくわしく紹介します。お楽しみに!(12月4日更新予定)
サンプルまんが作成 (C)十神 真
[初級編第12回]
背景を描こう(2)
 今回は効果背景の紹介です。風景を使った背景が、場所や時間、季節などの状況を説明するのに対して、効果背景はおもに登場人物の心理状態などを表現するものです。描き文字と併用して使うことも多いですね。シーンを盛り上げるためにも欠かせないテクニックです。

●1)読み手の視線を集める『集中線』

 下のイラストのように、コマの中で一人のキャラクターを目立たせたい場合や、向こうから物が飛んでくる場合などに、ぜひ使いたいのが集中線です。次のスピード線と同様に効果背景の中でも多用される技で、いろいろな場面で役に立ちますから、ぜひ習得しましょう。
 集中線の描き方を説明しましょう。まず下準備として集中線の中心点と線の範囲を鉛筆でしっかりマーキングしておきます(1)。次に定規を中心点から放射状にあてて、ペンで線を入れていきます(2)。この時、中心点を画鋲などで固定して、定規をあてやすくする人もいますが、そんなに厳密にする必要はありません。

 線は外側から中心点に向かって引くことになりますが、最初は太く、最後は細く描くようにするときれいな線になります。ペンにちょっと力を入れ、筆圧を上げて描き始め、じょじょに力を弱め、最後はスーッと抜く感じです。原稿を回しながら、常に上から下に線を引くようにすると描きやすいと思います。また定規で描いたばかりの線をこすらないように注意してください。
 (3)が完成形です。この後、はみでた線などはホワイトで消します。また、鉛筆のマーキングもきれいに消しておいてください。
 最初はなかなかきれいな線が描けないと思いますが、とにかく練習あるのみ。マスターできれば、線の密度や長さなどを変えながら多彩な表現ができます。

●2)絵に迫力を出す『スピード線』

 線で物の動きを表すのがスピード線(流線)です。集中線のように視線を集めるのとはちょっと違いますが、右のイラストのようにキャラクターの動きを表現したり、車などが疾走している感じを出したりする場合に重宝する技です。線の強弱、方向、粗密で、その物体の移動する方向や速度が表現できます。また物体の移動とは無関係に、たんに勢いとか迫力を表現したいときにも効果的です。

 描く場合の注意点は集中線と同様です。ただコマの中に中心点がないので、集中線より描きやすいと思います。少々線の太さが不揃いでもかまわないので、一気にリズムよく、シュッシュッと描くのがコツです。ていねいに描こうとゆっくり線を引いていると逆に勢いのない線になってしまいます。

●3)ここぞ!のシーンで使おう『ベタフラッシュ』

 集中線の応用で、イラストのように黒ベタの背景に集中線部分を白くする技です。キャラクターが何かを感じた!などの重要なシーンで使います。

 集中線を描き入れ、その外側を黒く塗りつぶしますが、通常の集中線を描くときよりさらに最初の線を太く入れ、線同士をつなげてしまいます。むずかしい技なので、1)集中線や、2)スピード線のテクに習熟してから挑戦してください。これができれば、さらに応用でベタフラッシュをセリフを入れるフキダシにしたりもできます。

●4)そのほかにも多彩な背景が…

 効果背景は『絶対こうじゃないといけない!』ということはありません。ここではいくつかの例を紹介しますが、既存の表現にしばられずに、自由に作り出していい背景なのです。あなたの感性や気分で新しい効果背景をぜひ考えてみてください。
 次回は問い合わせの多い、トーンについてお話ししようと思います。お楽しみに!
(11月20日(月)更新予定)
[初級編第11回]
背景を描こう(1)
 まんがの背景(バック)はおおまかにいって2種類あります。ひとつは風景などを描き込んだもの。もうひとつは集中線などの効果背景です。今回は風景にしぼって紹介します。 風景をきちんと描き込むことで、いつ(時間)、どこで(場所)などをきちんと説明することができます。人物の絵にくらべると少々地味かもしれませんが、コマに効果的に背景を入れてあげることで、わかりやすい読みやすいまんがにすることができるのです。

●1)まずは写真を参考に描こう!

 たとえば学校の建物を描くといっても、想像だけでは描けません。そこで参考にする学校が映った写真を用意します。この写真を見ながら学校の絵を描くわけです。最近はデジカメで撮って、パソコンのプリンターで出力することが多いと思います。プリントする写真の大きさを描きたいコマのサイズに合わせて、トレースするように描けばうまくいきます。
 なお、写真は自分で撮るようにしてください。絵やまんがに描いた人の権利があるように、写真にも撮った人の権利が存在します。安易に写真集などを参考に描くと、その権利を侵害してしまうことになります。また自分で撮った写真でも、風景に個人的な情報を特定できるようなもの(商店名や電話番号の入った看板など)が映っている場合は、これを描かないようにしてください。

●2)透視図法で描けばリアルに!

 ときには参考にする写真がなかったり、写真とは違うアングルで描きたい場合もあります。そんなときには透視図法という技を使って風景を描くとリアルに表現できます。透視図法には、2点透視、3点透視などがありますが、ここでは簡単な2点透視図法を紹介しましょう。  下のイラストのように、地平線上に2つの点(消失点)を設定します。そこから放射線状に基準線を鉛筆で引きます。平行に配置される窓枠や外観をこの基準線をもとに描き込んでいきます。この2つの点の間隔を広くとるか、狭くとるかによって絵はかなり変わります。あまり狭くとると、不自然に見えてしまうこともありますので、いろいろ試してみるといいでしょう。

●3)線に強弱をつけよう!

 下のイラストを見てください。均一な線で背景を描いてしまうと、とても平板で不自然に見えてしまいます。背景の基本は線に強弱をつけることです。遠くのものは細く、近くのものは太く、また光があたって輪郭がぼけるようなところは細く、影になって暗くなりそうな部分は太く描きましょう。いちいち描くペンを変える必要はありません。ペンに込める筆圧に強弱をつけ、太い線・細い線を描いてあげるといいでしょう。
 なお背景を描くには定規を多用することになりますが、あえて定規を使わないで、フリーハンドで描くことで、線に暖か味を出すこともできます。

●4)適度に省略する!

 特に写真をもとに風景を描くと、必要以上に描き込んでしまい、ゴチャゴチャした背景になってしまいがちです。この背景で何を伝えたいのか、たとえば『ここが学校帰りの路地であることがわかればいい』なら、遠方のビルや人物までは描き込まなくてもいいわけです。下のイラストのように背景をすっきり省略することで、見やすいコマになります。
 なお、背景がゴチャゴチャしがちな中に、目立たせたいキャラクターがいる場合は、そのキャラクターのまわりを白くフチどってあげると、人物だけを浮かび上がらせることができます。

 背景は楽しい絵ではないかもしれません。描くのに時間もかかります。どうしても人物に比べて手を抜きがちです。しかし背景がきれいに描かれていると、新コミの審査でもすごく目立ちます。がんばって練習しましょう!
 次回は『背景を描こう(2)』・効果バックです。集中線やベタフラッシュなど各種の効果処理についてご紹介します。お楽しみに!(11月6日(月)更新予定)
サンプルまんが作成 (C)十神 真
[初級編第7回]
いろいろな大きさやポーズで人物を描いてみよう!(2)
 自然で動きのあるポーズを描くのに避けて通れないのが、『骨格』です。「えっ、骨まで考えないといけないの? 面倒くさい…」と思うかもしれませんが、かっこよく、迫力のある絵でアピールしたいなら、ぜひこの描き方をおぼえましょう。

●リアルに描くなら、骨格を考えよう

 人間の骨格は骨と関節の組み合わせでできています。走る・立つ・座る…どんな動作をするにもこの骨と関節の位置で決まるのです。まんがを描くときもこれをきちんと把握していないと、とても不自然な動きになってしまいます。

1)座ったポーズ

 下のイラストはイスに座り、机に向かったときのポーズを描いたものです。骨を線で、関節を丸で表現しています。はじめに骨格部分を描き入れ、それに肉づけしていきます。さらにその上に髪や服などを描き込みます。面倒な手順のように思えますが、こうして描き上げると、とてもリアルなポーズになります。

2)走っているポーズ

 もう1点は走っているポーズです。立つ、座るといった静止しているポーズに比べ、むずかしいのですが、これもきちんと骨格を考えて描けば、リアルで動きのある絵になるのです。
 慣れれば、いちいち骨格の基準線を入れなくても描けるのですが、最初はきちんと基準線を入れることをオススメします。人物の写真集やスポーツ雑誌の写真の上にトレッシングペーパーなどをかぶせて、骨格の基準線を描いてみるのもいい練習方法です。実際の骨や関節の位置関係がどうなっているのか、よくわかります。
 また『描いた絵がなんか不自然だな…』と感じた時は、絵の上から、骨格となる基準線を引いてみてください。関節の位置が変だったり、骨が妙に長かったり…と、どこがおかしいのか、気づきやすくなります。
 前回でも描きましたが、こういったデッサン力は描いて練習しないと身につきません。一見地味な練習ですが、ぜひがんばってください。デッサン力がつけば、かっこいいアクションやスポーツまんがでも、自在に表現できるようになるのですから…

 次回は、コマの割り方についてお話しします。どうすれば読みやすく、効果的なコマ割りができるのか?についてです。お楽しみに!(9月4日(月)更新予定)
サンプルまんが作成 (C)十神 真

[初級編第6回]
いろいろな大きさやポーズで人物を描いてみよう!(1)
 今回から2回に分けて、人物を描くときのバリエーションを紹介してみたいと思います。いかに自然に全身の絵を描くか、動きのあるダイナミックな絵を描くか、これはまんがの表現の幅を広げるために避けて通れない道です。

●顔・全身をバランスよく描くために

 人物などの物体をきちんと描くためには、美術用語でいう『デッサン』力を磨く必要があります。学校の美術の授業で、石膏像や友人の顔を描いたことはありませんか? あれがデッサンです。デッサンの基本は、その人物の特徴やプロポーションを的確にとらえることです。

1)自然な顔を描くポイントは「等間隔」

 例えば人物の顔。イラストを見てください。額の上、目、鼻、あごが、だいたい等間隔にならんでいます。この比率で描くと自然な顔になります。もちろん、まんがではあえてこの比率をくずして、ユニークな顔にしたりすることもあります。

2)全身のバランス「頭身」を大切に

 次のイラストは全身のバランスです。頭身とよばれますが、全身と頭の比率を表すものです。
大人でしたら約7頭身
少年なら約6頭身
子供なら約4頭身

といったところでしょうか。
 リアルな人物を描きたいのなら、この頭身をくずさないようにします。
 また、女性の場合は全身のプロポーションの比率にも気を配りましょう。イラストのように頭身とは別に、関節位置による比率も考慮します。バストの上、股間、膝で4等分すると自然なプロポーションになるでしょう。

 基本はこのようになりますが、この頭身などの比率は絶対のものではありません。極端に頭身の大きい(頭の小さい)キャラクターや3頭身の大人キャラだってありです。まんがなのですから。ただ、このデッサン力をきちんと身につけた上で、あえて崩して描いてある絵と、デッサン力がなく、ただバランスが崩れている絵は根本的に違います。デッサン力をぜひ養ってください。

 デッサン力を上げるには、これはもう練習するしかありません。写真などを見ながらでもいいので、人物の顔や全身をスケッチしましょう。そのときに頭身など比率の基準線を描いてあげると、実際にどんな比率で体が構成されているか、把握しやすいと思います。

 次回は、今回の続きのお話をします。動きのある人物の絵を描くコツについてです。お楽しみに!(8月21日(月)更新予定)
サンプルまんが作成 (C)十神 真
[初級編第5回]
1コマ、人物の絵を描いてみよう!
 まんがの基本は1つずつに区切られた『コマ』です。そこで今回は1コマのまんがを実際に描いてみることにしましょう。
下描き

●下描きを入れよう

1) 原稿用紙(市販のB4版のもの)に、これから描く絵の下描きを鉛筆で描いていきます。まずは定規と鉛筆を使って四角いワク線を引きます。そのワク内で、おおまかに人物の配置を決めていきます。
下描き 2) 次にその配置にそって、下描き線を重ねて描いていきます。気に入らなければ、どんどん線を重ねて描きます。
 線がゴチャゴチャしてきますが、よほど見づらくならない限り、消しゴムはかけません。ひんぱんに消しゴムをかけると、原稿用紙がケバ立って、次のペン入れの段階でインクがにじんだりするからです。鉛筆線もなるべく薄く描きます。


主線

●ペンで主線(おもせん)を入れよう

1) 下描きの上からGペンにインクをつけ、人物の線を描いていきます。ここでの注意点は、インクをつけてすぐに描かないこと。インクをペンにつけたら、まず不用な原稿用紙で試し描きをして、インクが垂れたりしないことを確認してから描きます。
 ペンの持ち方は写真を参考にしてください。

主線 2) ペンで線を描く基本は『上から下へ描く』です。上から下にペンを使えない場合は原稿用紙を回転させて描きます。ペンを下から上に動かしたりすると、原稿用紙にペンがひっかかったりしますし、思いどおりの太さの線が描けません。
 また線の太さは、原稿用紙に押しつけるペンの力でコントロールします。強く押しつければ太い線になりますし、弱く押しつければ細い線になります。


主線 3) 初めてペンを使う人は、なかなか思いどおりの線が描けないかもしれません。ここは練習あるのみです。少々はみ出したり、失敗しても、あとでリカバリーしますから大丈夫です。
 なお、描いたばかりの線を手でこすったりしないように、ペンを持つ手と原稿用紙の間に、ティッシュや紙をはさんでおくといいでしょう。




主線 4) 主線のペン入れが終わったら、0.8mmのサインペンでワク線を描きます。下描き線にそって定規を使い、線を引きます。

主線  この段階での仕上がりは左のイラストのようになります。

背景

●背景を描く

1) 次に背景を入れていきます。サンプルイラストの場合は集中線ですが、風景などの場合もこの段階で入れます。この段階でペンを使った作業はすべて終了させます。
 なお集中線などの背景の描き方については、回をあらためて紹介する予定です。

背景 2) チェックして線の描きもれがないようでしたら、しっかり乾燥させて、消しゴムで下描きの鉛筆線をすべて消します。消しゴムのかすが残らないように、写真のようなブラシを使うといいでしょう。






●仕上げ

1) 最後に髪の毛などをベタで塗りつぶしたり、はみ出した線などを修正液で消したりすれば完成です。
 ベタで塗りつぶすときは写真のような筆ペンが便利です。また小さな塗りつぶしならば、サインペンを使ってもいいでしょう。修正液は写真のようなハケ付きのものが手軽です。液がたれないように、容器のフチでぬぐって少量を塗ります。細かい修正が必要なら、ホワイトインクと細い筆を使いましょう。
仕上げ
仕上げ  とりあえず1コマの絵が完成しました。実際にはコマ単位でこのように描くわけではありませんが、絵を描く過程はわかっていただけたと思います。
 次回は“いろいろな大きさやポーズで人物を描いてみよう!”です。お楽しみに!(8月7日(月)更新予定)

サンプルまんが作成 (C)十神 真
[初級編第4回]
"これだけあれば、まんがが描ける""
道具をそろえよう!その2

●まんがに必要な道具

 前回、紹介しきれなかった道具の続きです。

5)原稿用紙

原稿用紙
●漫画原稿用紙・B4(40枚):600円くらい
 一口にまんが用の原稿用紙といっても紙質・サイズ・厚さでさまざまなものがあります。紙質は上質紙・ケント紙・画用紙など。サイズはB4版・A4版などですが、新人コミック大賞に応募する場合、B4版の原稿用紙を使います。  厚さは重さの単位であるkgで表しますが(重いほど厚い紙になります)、135kgくらいのものがいいでしょう。最近は、各社からまんが専用の原稿用紙が発売されているので、それを購入するのが手軽です。基準となる版面用のワク線や目盛りが青く印刷されたものが使いやすいと思います(この青い線は印刷には出ません)。  原稿用紙は実際にインクとペンで描いてみないと、描きやすいかどうかの判断はできません。何社かの原稿用紙を試してみてください。写真はミューズの漫画原稿用紙・B4(上質紙 135kg)です。


6)鉛筆・消しゴム

鉛筆消しゴム
●鉛筆(芯の硬さB):60円くらい(1本)
●プラスチック消しゴム:200円くらい
 原稿用紙に下描きを入れるときに使います。鉛筆ではなく、シャープペンでもOKです。HB~2Bくらいの芯を使いましょう。芯が硬すぎると原稿に鉛筆あとが残って、ペンがひっかかったりしますし、逆に柔らかすぎると消しゴムをかけるときに鉛筆線がきれいに消えないことがあります。
 消しゴムは通常のプラスチック消しゴムを選べばいいでしょう。昔は原稿用紙との相性もあり、消しゴムをかけたら紙がケバだってしまうこともあったのですが、今はほとんどないようです。

7)定規

 ワク線を引いたり、効果線を描いたりするときに使います。40cm程度の直線定規が1本あれば大丈夫ですが、できれば三角定規も一つあると便利です。直線定規とあわせて写真のように簡単に垂直線や平行線が引けます。  目盛りのついた透明アクリル製で、直線定規はインクの染みこみ防止の面取りが片面にされているものを選びましょう。精度の高い定規は高価ですが、ていねいに使えば一生モノです。
定規
●直線定規(45cm):1,500円くらい
●三角定規(2本組):1,800円くらい
サインペン
●サインペン(0.8mm):200円くらい

8)サインペン

 Gペンなどと違い、幅のそろった線を引くときに使います。とりあえず0.8mmの線幅のものが1本あれば、ワク線を引くときに重宝します。  作家さんによってはもっと細い線幅のものを丸ペンのかわりに使い、背景を描いたりしています。
筆ペン
●筆ペン:500円くらい

9)筆ペン

 本来は書道用のものですが、黒ベタ部分を塗りつぶすのに便利です。中字~太字のものを買いましょう。使い慣れれば、細かな込み入った部分も大面積も、これ1本で塗りつぶすことができるようになります。

10)製図用ブラシ

ブラシ
●製図用ブラシ:
800円くらい
 原稿用紙にケシゴムをかけたあとのカスをはらうのに使います。必ずないといけない道具ではありませんが、手でこすったりはらったりすると原稿用紙が汚れて、思わぬ修正をすることになります。『転ばぬ先のブラシ?』ですね。

 以上が基本のまんが道具です。全部揃えるとけっこうな金額になってしまいますが、絵を描くだけなら、原稿用紙・インク・ペン&ペン軸だけでできます。いきなりコマを割って描くのではなく、1シーンだけ描いてみる…ことから始めてもいいのです。もちろん最初はペンにも慣れていないし、うまく描けないでしょう。プロの作家さんも初めはそうでした。とにかくたくさん描くことでうまくなっていったのです!
 次回は、"1コマ、人物の絵を描いてみよう!"です。お楽しみに!(7月24日(月)更新予定)

[初級編第2回]
1ページのまんがが描き上がるまで

●まんがを描く流れ

 第2回は、まんがを描く流れについて紹介しようと思います。どういう順番でまんがを描くかは作家さんによって微妙な違いはありますが、おおまかに整理すると、次の4つのステップになります。
1)絵コンテを描く
2)下描きを描く
3)ペン入れ
4)仕上げ
 サンプルまんがを例に、この各ステップを見ていきましょう。 060612a.jpg

1)絵コンテを描く

 これから描くまんがの設計図です。絵コンテではなく、ネームと呼ぶこともあります。ノートなどにおおざっぱにコマを割って(コマの大きさや配置を決めることを"コマ割り"といいます)、人物やセリフを入れ、コマの大きさなどはどうか? この場面でいいのか? セリフは? などの検討をします。まんがを描くときに一番大切なのがこの段階です。プロの作家さんもこの絵コンテに時間をかけ、おもしろいまんがにしようと悩みます。また、最初に文章であらすじを書いて、おおまかな話の流れを決めてから、絵コンテにとりかかる作家さんもいます。 060612b.jpg

2)下描きを描く

絵コンテが決まったら、それにそって原稿用紙に鉛筆で絵を描きます。次のペン入れのための下準備です。この下描きをなぞるようにペンを入れていきますので、なるべく薄く描きましょう。使う鉛筆ですが、硬いと原稿用紙に跡がついたりしますし、柔らかすぎると消すときに汚れるので、HB~2Bくらいがいいと思います。また、あまりにていねいに絵を入れてしまうと、ゴチャゴチャしてペンを入れづらくなりますから、サンプル画のように人物中心に描くくらいでちょうどいいでしょう。 060612c.jpg

3)ペン入れ

 下描きの鉛筆線をガイドにして、インクとペンで線を描いていきます。まず基準となるコマのワク線を入れ、人物を描き、最後に背景や効果線を描き入れます。その後、下描きで入れた鉛筆の線を消しゴムできれいに消します。 060612d.jpg

4)仕上げ

 最後は仕上げです。ベタを塗ったり、トーンを貼ったりします。また線のはみだしや失敗がある箇所を修正液などで修正します。この後、フキダシにセリフを鉛筆で記入して完成です。

 以上が、まんがを描く基本的な流れです。32ページのまんがを描くのであれば、まず32ページ分の絵コンテを描き、32ページの下描きを描く…といった具合にステップごとに進めていきます。ただ、プロの作家さんの場合は時間との闘いになりますから、自分に合った流れを決めて、ペン入れ、仕上げを1ページずつこなしていく人もいるようですね。

 次回は、"これだけあれば、まんがが描ける"道具の紹介です。(6月26日(月)更新予定)お楽しみに!

サンプルまんが作成 (C)十神 真

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