[パソコン作画編第12回]
ファイルへの書き出し・印刷etc.
 パソコン作画編もテクニック紹介は今回で最後になります。少々急ぎ足で解説してしまったので、わかりにくいところもあったかもしれません。ご容赦ください。最後に、新人コミック大賞に応募するためのファイル書きだしや原稿印刷について、そして作画ソフトの『Comic Studio』のラインナップの中でも、プロ作家さんが使う『Comic Studio EX 4.0』のスペシャルな機能についてもご紹介します。なお、今まで長らくおつきあいいただいたお礼に、このEX 4.0を読者の方に3本プレゼントします。

●デジタル原稿で新人コミック大賞に応募する

 新人コミック大賞にデジタル原稿で応募する場合の明確な規定はありませんが、

1)psdファイル形式で保存した原稿データをCD-RやDVD-Rに焼いたもの

2)B4サイズでプリントアウトした原稿


の2つを同封して応募いただければ、通常の審査と変わりなく審査されます。その他の応募のきまりはアナログ原稿の場合と同様です。

●ファイルをCD-RやDVD-Rに焼く

 デジタル作画が仕上がったら、データファイルとしてパソコンのハードディスクに保存しますが、応募するときは、郵送可能なメディアに保存しなければなりません。まずは、対応形式でファイルを保存します。
 これは書き出しを選択すると出てくる画面です。出力サイズは「等倍で出力」を選択します。拡大縮小や解像度を変えたりなどはしない方が良いでしょう。モアレが出たりする可能性があります。出力形式の種類はPhotoshopを選びます。印刷出版業界で最も利用される形式がpsd形式なのです。
 ハードディスクに保存したら、書き込みソフトを使い、原稿のデータファイルをCD-RやDVD-Rに書き込みます。郵送中に破損したりしないように、プラケースに納めてください。

●B4サイズでプリントアウトする

 一般の環境でハードルが高いのがこれです。A4サイズのプリンターを持っている人は多いのですが、B4はオフィスユースなので、自宅にある人は少ないでしょう。「なぜB4サイズで応募しなきゃいけないの? A4でも読めるならいいのでは...」と思う方もいるでしょうが、審査のときに原稿サイズが変わると、絵の印象もかわり、同一の条件での審査という原則が崩れてしまうのです。ともあれ、B4サイズで出力する方法としては……

1)B4プリンターを持っている友人や知人にお願いして出力してもらう

2)Kinko'sなどのビジネスショップで出力する

3)いったんA4でプリントアウトし、コンビニなどのコピー機でA4→B4の拡大コピーをする


 などでしょうか。一番手軽なのは1)ですが、まわりにB4プリンターを持っている人がいないと頼めません。2)は数千円のお金がかかりますので、最後の手段は3)です。拡大になりますから、若干絵はボケますが、A4→B4くらいなら、さほど気にならないと思います。

●『Comic Studio EX 4.0』とは?

 いままで解説のベースにしてきたのは『Comic Studio DEBUT』です。手軽で低価格なのですが、プロが使うには少々力不足です。この高機能版が『Comic Studio EX 4.0』です。ここでは、このEX 4.0ならではの機能をいくつか紹介してみたいと思います。
▲「パス」という機能を使って、曲線を描いてる画面です。ベジェ曲線定規やパース定規、放射線定規などマンガ作成に便利な定規ツールが豊富に入っています。
▲PowerToneの画面です。EXには通常のトーン以外にPowerToneのプラグインが入っていたり、量は多くはありませんが、MAXONなどのトーンメーカーのトーンが収録されているので、トーン表現の幅が広がります。
▲フィルタのサンプルです。EXはフィルタ変形や効果、線補正など、かなり多くのフィルタ機能があります。左は「階調の反転」、右は「渦巻き」のフィルタです。
▲コンビニで出力する場合の画面です。ニューバーの「ファイル」から「コンビニ出力用データのアップロード」を選ぶと出てくる画面です。EXはネットを通じてセブンイレブンのマルチコピー機で出力することが可能です。B4プリンターなどを持っていない人には便利な機能です。
▲EXにはさらに強力な描画支援機能の2DLTと3DLTという機能があります。左は写真画像を線とトーンで処理して、まんがの背景風にしてくれる2DLTという機能。右はEXに収録されている3Dデータを読み込んで画像を作成する3DLTという機能です。アングルを自由に変えることができます。

 さすがに最上位版だけあって、パソコン作画で欲しいと思う機能がほとんど入っています。これがあればプロユースにも耐えられます。ただし高機能すぎて、すぐに使いこなすのは大変です。最初から無理にEX 4.0を購入しなくても、デジタル作画を経験するだけなら、低価格のDEBUT版でいいでしょう。

▼アンケートに答えてプレゼントをもらおう!

 次回は番外編として、パソコン作画編連載中に寄せられた読者の方からの質問にお答えしたいと思います。お楽しみに!(8月4日(月)更新予定)
サンプルまんが作成 (C)十神 真
[パソコン作画編第4回]
まんが原稿をパソコンに取り込む
 今回から、パソコンを使った作画の実践になります。作業の手順としては、
[1] まず、線画の原稿用紙をスキャナーでパソコンに取り込む
[2] ワク線などを描き入れる
[3] ベタ塗り・トーン貼り・背景処理
[4] 修正作業
[5] プリントアウト・確認など

という流れになります。まずは[1]のまんが原稿の取り込みについて、ご紹介します。なお特に断り書きがない限り、使用ソフトは『Comic Studio Debut』です。

●原稿用紙の設定をする

 まず最初にやることは、画面上にまんが原稿用紙を作ることです。Comic Studioのファイルメニューから新規作品を選び、B4サイズの原稿用紙設定をします。下の画面写真がそれです。すでにB4まんが原稿用紙のテンプレートがあるので、それを利用すればいいでしょう。
ここで大切なのは基準解像度です。600dpiを選びます。dpiとは解像度を表す単位で、数値が大きいほど細かい表現が可能になります。プロの作家さんがパソコン作画する場合も600dpiで作画します。また基本表現色はモノクロ(グレースケール)を選択。この設定が終わると、画面上に青い基準線が入った原稿用紙が表示されます。この原稿用紙上でまんがを描いたり、修正を入れたりしていくのです。

●線画の原稿用紙をA4スキャナーで分割スキャンする

 パソコンソフト上の原稿用紙に線画原稿を取り込みます。パソコン作画編第2回でも紹介しましたが、このとき必要なのがスキャナーと呼ばれる機械です。プロの作家さんはB4の原稿用紙を一発で取り込めるA3対応スキャナーを持っていますが、高価ですし、製品数も多くありません。一般的に普及しているのはプリンターと一体になった複合機でしょう。これなら約2万円くらいから手に入ります。ただし、A4までのサイズの原稿しか取り込めません。ここではA4スキャナーでの分割取り込みの方法をご紹介します。右のB4線画原稿を取り込んでみます。
 Comic Studioのファイルメニューから取り込みを選び、スキャナーを立ち上げます。絵が描いてある面をスキャナーの読み取り面にあて、まず原稿の上半分をA4スキャン。次に、原稿をずらして下半分をA4スキャンします。本来は1枚の原稿を上下に分割して2枚の画像にするわけです。
 スキャンの設定は、やはり600dpi、モノクロ(グレースケール)とします。スキャン時の注意点は、原稿をスキャナーのガイドにきちんとあてて、ずれたりゆがんだりしないようにすることです。スキャン後は次のような2枚の画像になります。

●分割された原稿を1枚に合成する

 2枚の画像を1枚に合成します。最初に作ったB4原稿用紙に、2枚の画像を重ねます。このままでは、分割してスキャンしたときの画像のズレがありますから、真ん中あたりで、ブレて重なったようになります。
 これを修正します。上半分画像、下半分画像を原稿用紙の基準線に注意しながら、それぞれ移動させ、ぴたりと重なるようにします(正確に重ならないことも多いので、だいたいでもかまいません)。
 これで位置は合いました。しかし真ん中あたりで画像は重なったままです。そこで重なっている余分な部分をカットします。コマとコマの段間で絵のない部分を境に不要な箇所を領域選択し、カットします。図では下半分の画像から不要な部分をカットしていますが、同様に、上半分でも不要部分をカットします。
 そして上半分画像、下半分画像を合成して1枚の画像にします。

●ゴミがないかどうかチェックしよう

 スキャナーから原稿を取り込むときに、読み取り面や画稿についたゴミも読み取ってしまうことがあります。パソコン画面上では気が付かなくても、プリントアウトしたときにしっかり出てしまうことがありますから、画像を拡大モードにしてゴミのチェックをします。
 画面で青く囲ったところがゴミです。消しゴムツールもしくは領域選択→カットでこのゴミを取り除きます。これで1ページ分完了です。

 実際には、この作業をページ数分繰り返しますから、けっこう大変です。ただ一度パソコンに画像を取り込んでしまえば、あとの作業は楽ですから、がんばってください。なお、今回の作業中、パソコン作画する場合の重要な概念である「レイヤー」についての解説は省いてしまいました。原稿用紙に2枚の画像を重ねたり、1枚に合成したりする場合、このレイヤーという概念を理解しておかねばなりません。次回、このレイヤーについて詳しく紹介します。お楽しみに!(3月17日(月)更新予定)
[初級編第4回]
"これだけあれば、まんがが描ける""
道具をそろえよう!その2

●まんがに必要な道具

 前回、紹介しきれなかった道具の続きです。

5)原稿用紙

原稿用紙
●漫画原稿用紙・B4(40枚):600円くらい
 一口にまんが用の原稿用紙といっても紙質・サイズ・厚さでさまざまなものがあります。紙質は上質紙・ケント紙・画用紙など。サイズはB4版・A4版などですが、新人コミック大賞に応募する場合、B4版の原稿用紙を使います。  厚さは重さの単位であるkgで表しますが(重いほど厚い紙になります)、135kgくらいのものがいいでしょう。最近は、各社からまんが専用の原稿用紙が発売されているので、それを購入するのが手軽です。基準となる版面用のワク線や目盛りが青く印刷されたものが使いやすいと思います(この青い線は印刷には出ません)。  原稿用紙は実際にインクとペンで描いてみないと、描きやすいかどうかの判断はできません。何社かの原稿用紙を試してみてください。写真はミューズの漫画原稿用紙・B4(上質紙 135kg)です。


6)鉛筆・消しゴム

鉛筆消しゴム
●鉛筆(芯の硬さB):60円くらい(1本)
●プラスチック消しゴム:200円くらい
 原稿用紙に下描きを入れるときに使います。鉛筆ではなく、シャープペンでもOKです。HB~2Bくらいの芯を使いましょう。芯が硬すぎると原稿に鉛筆あとが残って、ペンがひっかかったりしますし、逆に柔らかすぎると消しゴムをかけるときに鉛筆線がきれいに消えないことがあります。
 消しゴムは通常のプラスチック消しゴムを選べばいいでしょう。昔は原稿用紙との相性もあり、消しゴムをかけたら紙がケバだってしまうこともあったのですが、今はほとんどないようです。

7)定規

 ワク線を引いたり、効果線を描いたりするときに使います。40cm程度の直線定規が1本あれば大丈夫ですが、できれば三角定規も一つあると便利です。直線定規とあわせて写真のように簡単に垂直線や平行線が引けます。  目盛りのついた透明アクリル製で、直線定規はインクの染みこみ防止の面取りが片面にされているものを選びましょう。精度の高い定規は高価ですが、ていねいに使えば一生モノです。
定規
●直線定規(45cm):1,500円くらい
●三角定規(2本組):1,800円くらい
サインペン
●サインペン(0.8mm):200円くらい

8)サインペン

 Gペンなどと違い、幅のそろった線を引くときに使います。とりあえず0.8mmの線幅のものが1本あれば、ワク線を引くときに重宝します。  作家さんによってはもっと細い線幅のものを丸ペンのかわりに使い、背景を描いたりしています。
筆ペン
●筆ペン:500円くらい

9)筆ペン

 本来は書道用のものですが、黒ベタ部分を塗りつぶすのに便利です。中字~太字のものを買いましょう。使い慣れれば、細かな込み入った部分も大面積も、これ1本で塗りつぶすことができるようになります。

10)製図用ブラシ

ブラシ
●製図用ブラシ:
800円くらい
 原稿用紙にケシゴムをかけたあとのカスをはらうのに使います。必ずないといけない道具ではありませんが、手でこすったりはらったりすると原稿用紙が汚れて、思わぬ修正をすることになります。『転ばぬ先のブラシ?』ですね。

 以上が基本のまんが道具です。全部揃えるとけっこうな金額になってしまいますが、絵を描くだけなら、原稿用紙・インク・ペン&ペン軸だけでできます。いきなりコマを割って描くのではなく、1シーンだけ描いてみる…ことから始めてもいいのです。もちろん最初はペンにも慣れていないし、うまく描けないでしょう。プロの作家さんも初めはそうでした。とにかくたくさん描くことでうまくなっていったのです!
 次回は、"1コマ、人物の絵を描いてみよう!"です。お楽しみに!(7月24日(月)更新予定)

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