[パソコン作画編第5回]
レイヤーって何?
 ちょっと番外編っぽくなりますが、今回は『レイヤー』のお話です。レイヤーはパソコンでまんが作画するときに、とても大切な概念であり、機能です。これをきちんと理解することで、背景と人物を自在に重ね合わせたり、一部のトーンだけ簡単に修正したりすることができます。

●レイヤーはアニメのセル画みたいなもの

 右の絵を見てください。この絵は様々なパーツの組み合わせで1枚の絵になっています。フキダシだけの絵、描き文字だけの絵、背景…など全部で7枚の絵が合成されています。
具体的に見てみましょう。下のイラストは、ソフトのレイヤー機能のウィンドウと、それぞれのレイヤーに対応した7枚の絵の重なり具合をあらわしています(使用ソフトはPhotoshopです)。
 これがレイヤー機能です。イメージはアニメのセル画でしょうか。透明なセル画に人物などの絵を描き、背景画と重ね合わせると、人物が手前に見えます。さらにもう1枚、セル画に人物を描いて重ねることもできます。この1枚1枚のそれぞれのセル画がレイヤーです。コミックの場合は1つの絵がだいたい数枚ていどのレイヤーで構成されていますが、カラーイラストなどでは数十枚ものレイヤーを使うこともあります。

●レイヤーを使いこなせば作画は楽になる

 一見すごく面倒ですが、レイヤーを分けて絵を描くことには様々なメリットがあります。それは、
(1) 修正をしやすくする
(2) 重なり具合や位置を検討できる
(3) おもしろい効果を出すことができる

などです。
 例えば、上の絵を普通に原稿用紙にペンで描いたとしましょう。描き終わった後で、「もっとフキダシを小さくしたい」と思ったら、バックのプラットホームの屋根を描き足さなければなりません。「人物の位置をもっと線路寄りにしたい」なら、もっと大変です。
 こんな場合、フキダシや人物、背景などがそれぞれ別のレイヤーになっていれば、フキダシを大きくするだけでOKですし、人物だけの絵をずらすだけで大丈夫なのです。背景のレイヤーはイラストのように完全な一枚絵になっていますから、この上に重なっている人物のレイヤーだけを移動させれば完了です。簡単ですね。

 また、それぞれのレイヤーは重ねる順序や表示・非表示を変えることで見え方が違ってきます。ソフトのレイヤー機能で描き文字とフキダシのレイヤーを非表示にすれば、右のような絵になります。

 それぞれのレイヤーの画線以外をすべて透明にすれば、右の絵のような効果を出すこともできます。
 いかがでしょうか? 面倒に思うかもしれませんが、レイヤー機能はパソコン作画ならではの強力な機能です。パソコンで作画するプロの作家さんは、このレイヤー機能に習熟しています。というか、レイヤーを使いこなせないと仕事になりません。
 今回は、レイヤーの説明のために、細かくレイヤーを分けましたが、実際はもっと少ないレイヤー枚数で済ます作家さんもいます。とりあえず、いろいろ試してみて、まずはこのレイヤー機能に慣れてください。

 次回は、実際の作画に戻ります。取り込んだ原稿を仕上げていきますが、今回お話ししたレイヤーの具体的な使い方になります。お楽しみに!(4月7日(月)更新予定)
サンプルまんが作成 (C)村川和宏
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