[実践:めざせ!受賞編第15回]
ペン入れ(1)
 今回から『ペン入れ』についてお話ししていきましょう。まんがを描き始めたばかりの人にとって最初のハードルがこのペン入れです。シャープペンや鉛筆なら自在な線が描けるのに、ペンだとうまく描けないという人が多いのです。インクをつけて描くということ自体、日常ではほとんどないことですから、仕方ありません。これはもう慣れるしかないのです。

●ペン入れに使うペン先

 まずはペン入れのサンプルを見てみましょう。下の原稿は、前回までの下描きにペン入れしたものです。ペン入れでこのくらいまで描き込みます。
 この原稿はワク線以外はすべてペンで描かれています。ここで、まんがを描くときに使うペンについて紹介しましょう。なお、ペンの使い方などはバックナンバーも参考にしてください。
 それぞれのペンで『入り』『抜き』をした例も紹介しましょう。『入り』とは線の描き始め、『抜き』とは線の描き終わりの表現のことです。サンプルのまんが原稿で右下のコマで使われているベタフラッシュの表現などに使います。

●ペン先は使い分けるのか?

 ここで紹介したペン先すべてを使い分けながら、描く作家さんもいれば、Gペンと丸ペンしか使わない人、Gペンしか使わない人…様々です。少女まんがでは、丸ペンしか使わない作家さんも多いようです。
 慣れればGペンで細い線を描くこともできますし、丸ペンで太めの線を描くこともできます。1種類のペン先ですべてをこなせれば楽ですし、ペンにも早く慣れます。ただしそれぞれのペン先本来の線とは違う線を描くわけですから、ペン先がすぐにダメになってしまいます。おろしたてのGペンならば細い線が描けますが、使っているうちに太い線しか描けなくなります。丸ペンで筆圧をかけて太い線を描いていると、ペン先が開いてしまい、細い線が描けなくなります。作家さんによってはそういったペン先を太い線専用にしている例もありますが、ペン先の消耗は早くなりますので、こまめに新品と取り替えながら描くことになります。

●まず一つのペン先にしぼって練習しよう

 現在、第一線で活躍している作家さんも、最初から思い通りの線が描けていたわけではありません。今、自在な線が描けるのは、経験と練習のたまものなのです。『ペンは描いた線の数だけ上達する』とよくいわれますが、ある作家さんのところでは、アシスタントに入ると、最初は右のようなカケアミの練習を毎日させられるそうです。原稿用紙がカケアミで埋め尽くされるくらいまで描くのですが、1か月もたつと自在にそのペンが扱えるようになっているそうです。

 カケアミばかりですと単調ですから、曲線やタッチをつけた線なども交えて練習したらいいと思います。特に『入り』と『抜き』は大切なテクニックですから、思いどおりの入り抜きができるようにしましょう。なお、最初から何種類ものペン先を使いこなすのは難しいと思います。もしあなたが男性向けのまんがを目指すのであれば、Gペンを、少女・女性向けのまんがを描くのであれば、丸ペンをまず徹底的に練習したほうがいいでしょう。

 次回はペン入れの続きです。サンプルをもとに具体的なペンの入れ方などをご紹介したいと思います。お楽しみに!(9月3日(月)更新予定)
サンプルまんが作成 (C)十神 真
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