[実践:めざせ!受賞編第12回]
コマ割りと構図(2)
 今回はタチキリや変形ゴマの使い方についてお話ししたいと思います。コマの基本はワク線で四角く囲んだものですが、もっと迫力を出したい、もっと印象的にしたいなどの場合、変形ゴマなどを使うことがあります。多用すると読みづらくなってしまいますが、ここぞというシーンで使うととても効果的です。

●絵が広く描けるタチキリ

 まんが雑誌を読んでいると、紙いっぱいに描かれたコマをよく見かけます。タチキリ(裁ち切り)というコマです。原稿用紙の版面(内側の青色の線)からはみ出して描きますが、広くコマがとれるので、背景をきちんと描き込んだり、キャラも大きく描くことができます。変形コマの一種ですが、多用してもさほど読みづらくならないため、最近はほぼ全ページをタチキリで描くまんが家さんもいるようです。例をあげてみましょう。
 各1コマ目を変えてみました。[1]は通常のコマ、[2]がタチキリのコマです。全体のコマの配置を変えずに、[2]は背景や人物が大きくできます。新キャラの登場シーンなどでは効果的ですね。[3]はさらにワク線をなくしてみました。絵がさらに広々としますが、これは多用せず、アクセント的に使ったほうがいいと思います。
 なお、右のイラストのように、雑誌のノド側(雑誌を綴じている部分)に向けたタチキリもありますが、ノド側は読みにくいので使わない方がいいでしょう。また、タチキリを使う場合はフキダシのセリフ位置にも注意してください。外側にセリフを入れると、切れて読みにくくなったりします。セリフはなるべく版面内に収めてください。


●ここぞというときの見開きカット

 クライマックスなどで、さらに大きく絵を入れたい場合は、右ページ・左ページ両方を使った見開きカットが効果的です。2ページをすべて1カットに使う場合だけではなく、下のサンプルのように上段のコマだけを見開きにすることもあります。
 見開きカットを描く場合の原稿用紙の使い方は通常と少々異なります。下に手順を解説しましたので参考にしてください。

[1] 2枚の原稿用紙の左側・右側を版面の青い基準線から15mmの位置で切ります。
[2] 2枚をくっつけて裏からセロハンテープなどで固定します。
[3] このような1枚の原稿用紙にして使います。この原稿用紙いっぱいに描くわけです。

 タチキリでもお話ししましたが、中心のノド部分は読みにくいのでノドに絵の大切なところがきたり、セリフが入ったりしないよう気をつけてください。なお応募する場合は、テープで固定した中心部分で折り曲げて封筒に入れればOKです。

●変形ゴマで画面に変化を

 通常の四角いコマではなく、斜めや台形にコマをとって表現することもあります。構図との関係で、斜め上からの見下ろすようなアングルなので台形にコマをとりたい、スピードや動きの方向を出したいので斜めにコマをとりたい、などの場合です。変形ゴマは、いいアクセントになりますし、画面に華やかな感じを出したりできるので重宝します。
 下のサンプルでは、同じシーンを、[1]が通常の四角いコマ、[2]が斜めの変形ゴマで表現してみました。サンプルのような動きのあるコマでは、[2]のほうが迫力がありますね。
 もちろん変形ゴマにしても、あまり効果がないこともありますし、多用すると読みづらくなってしまう場合もあります。使いどころと効果を考えて選択しましょう。

 次回はネーム(絵コンテ)の作り方についてです。まんがを描く上で最終的な設計図になるのが絵コンテです。この絵コンテをもとに内容の吟味をしますから、まんが作りで一番大切といってもいいかもしれません。お楽しみに!(7月17日(火)更新予定)
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