[実践:めざせ!受賞編第10回]
ストーリーはどうやって作るのか?(10)
 長々とお話ししてきたストーリー編ですが、ストーリーを作るときの注意点をご紹介して、まとめにしようと思います。新人コミック大賞の応募原稿を拝見していて、よくある事例から、ビギナーの皆さんが陥りがちなポイントについてです。あなたが考えたストーリーは、こんな罠にはまっていませんか?

●今の画力では描ききれないテーマ・ストーリーになってはいないか?

 応募原稿の中でも多い例です。メカ総出演のSFやファンタジーなどをまんがで描く場合、それを説得力あるまんがにするためには作画力が不可欠です。そもそもSF・ファンタジー系はプロでも作画で苦労する題材です。また動物・自然などをテーマにした作品もかなりの画力が要求されます。最初は、自分の画力に見合ったテーマ・ストーリーを選んだほうがいいと思います。

●ひとりよがり、ご都合主義の展開になってはいないか?

 なぜそうなるのか、どうしてそうなるのか? 登場人物の言動やストーリーの展開には、きちんとした裏付けが必要です。ただ面白いから、読者が驚くだろうから、では納得できないまんがになってしまいます。たとえば、主人公が闘いに敗れ、その後さらに強くなって復活するような展開の場合、なぜ主人公はよみがえったのか? なぜさらに強くなったのか? をきちんと紹介しないといけません。

●登場するキャラクターが多すぎないか?

 これもご都合主義の延長線にあります。最初は主人公・ヒロイン・サブキャラ数人で始めたのに、途中、主人公とからむ師匠が欲しくなった、主人公を助ける謎の男が欲しくなった…などで、どんどんキャラが増えていってしまうことです。突然現れて、都合のいいことをして、去っていく、そんなキャラはいないでしょうか? 限られたページ数の中で、登場人物が増えることはそれだけ他のキャラが薄まってしまうことになります。最初にキャラを考えるときに、役割や人間関係をきちんと整理してください。

●テーマは明確になっているか?

 このまんがは学園恋愛まんがです、このまんがは夏期合宿での友情がみどころです…などなど、これから描こうとしているまんがをあなたはわかりやすく説明できますか? それが明確なまんがであれば、読者にとっても(また審査員にとっても)わかりやすいまんがです。延々読んだあと「結局これはなんのまんがだったのか…」わからない作品もとても多いのです。

●メリハリはあるか? 1本道になってはいないか?

 めざせ!受賞編第8回でもお話ししましたが、ストーリーの流れが1本道でフラットな展開ほどつまらないものはありません。読者は次の展開を予想しながら読み進めていきますから、その予想を時には裏切りながら、えっ、と思わせる仕掛けも必要です。キャラの置かれた状況や気持ちにメリハリをつけて、飽きさせないように。自分が1読者になった気持ちで全体をながめてください。

 いかがですか? あなたの考えているストーリーは大丈夫でしたか? もちろんこれらの注意点を守っているから、面白いまんがになるわけではありません。これらは最低限の決まりのようなものです。そこから先、受賞に値するまんがにするためには、+アルファの面白さ、新鮮さや個性がなくてはならないのです。

 次回はコマ割りと構図についてお話ししたいと思います。読み手を飽きさせない効果的な画面構成についてです。お楽しみに!(6月18日(月)更新予定)
サンプルまんが作成 (C)十神 真
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