[初級編第13回]
トーンを使おう(1)
 濃淡の表現や立体感の表現に欠かせないのがトーン処理です。手軽にきれいな表現ができますが、多用すると画一的な画面になってしまうこともあります。アミ点のトーン以外は手描きでも表現できるものがほとんどなので、ペンの練習もかねて、なるべく自分で描くようにしましょう。特に、まんがを描き始めたばかりの方は、トーン処理よりも、まずペンになれることをおすすめします。ペンを自在に扱えるようになってからトーンを使うようにしても遅くはありませんから。

●1)こんなときにトーンを使おう

 濃淡を表現する場合、アミ(網)という点の大小粗密で作られたトーンを使います。下の女の子のイラストは、さまざまなアミ点のトーンを貼っています。
 また建物や人物の陰にもアミ点のトーンを使うと、画面に立体感が生まれます。サンプルでは61番のアミ点トーンを使用しています。
 背景の処理にもトーンが使えます。イラストをみてください。どれも手描きでは難しいものですが、いくつかのアミ点トーンを組み合わせたり、『削り』というちょっとした加工をしてあげることでリアルで効果的な背景に仕上げることができます。

●2)トーンの種類と道具

 もともとトーンはまんが専用というわけではなく、デザイン画で濃淡や柄を表現するための画材でした。レトラセット社の『スクリーントーン』が元祖といわれています。昔は高価で、種類もアミ点のトーンなど限られたものでしたが、現在では各社からさまざまな柄のものが発売されています。価格も1枚500円前後です。
 プロの作家さんがよく使うものとして61番のアミ点トーンがあります。レトラセットのNo.61が定番ですが、他社からも発売されています。ただ同じ61番でもメーカーによって若干濃淡に差があるようです。

 積極的におすすめはしませんが、アミ点トーンの他にも下のような、カケアミ、背景などの柄のトーンもあります。
 なおトーンを切り出すにはカッターナイフが必要です。普通のカッターナイフでも大丈夫ですが、できれば写真のようなデザインナイフ(オルファ製500円前後)があると、細かな切り出しができて重宝します。

●3)トーンの使い方

 トーンは裏に弱い糊のついたフィルムです。カッターナイフで切って、原稿に貼り付けますが、うまく使うにはちょっとしたコツが必要ですので、紹介しましょう。

(1)

サンプルで女の子の髪の毛にトーンを貼ってみます。

(2)

原稿にトーンをあてて、おおまかにカッターで切り出します。

(3)

切り出したトーンをカッターの柄の部分で軽くこすり、仮固定します。なお、アミ点のならびを45度の角度になるようにするときれいに見えます。

(4)

髪の毛の輪郭に沿ってトーンを切ってゆきます。あまり強く切ると下の原稿まで切れてしまうので軽く刃をすべらせる感じで切ります。
 なお、あまり細かな部分をカッターだけで切り出そうとしても、うまく切り出せません。特に髪の毛などはそうです。そこで便利な技を一つ紹介します。
トーンの不必要な部分を切るのではなく、削ってしまうのです。カッターの刃を立てて、軽くこするようにアミ点を削りとっていきます。

(5)

このほうが細かな部分の処理もラクです。
イラストはだいたい削り終わったところです。

(6)

おおまかに不必要な部分を切り出して、はがします。

(7)

最後にトーンの台紙を原稿の上にのせ、カッターの柄やへらなどで強めにこすり、トーンを定着させます。この作業があまいとトーンがはがれてしまいます。

(8)

完成です。通常の切り出しに比べ、削り技を使えば倍くらい早くなります。ただ、トーンをうまく削るには練習が必要ですので、1枚トーンをダメにするくらいの気持ちで削ってみましょう。

 トーンの削り技は習得すると、いろいろなシーンで役に立ちます。次回はこのトーンの削りや応用技について、もう少しくわしく紹介します。お楽しみに!(12月4日更新予定)
サンプルまんが作成 (C)十神 真
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